

近年のデジタル化の進展により、業務自動化の重要性が高まっています。RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)は、定型業務を効率化するツールとして広く普及していますが、生成AIの急速な進化が、新たな自動化の可能性を切り開いています。本記事では、RPAが直面する限界や課題を振り返りながら、両者が補完し合う未来像を探ります。
1.RPAの基本と課題
RPAとは
RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)とは、定型業務の自動化を指します。
RPAツールを使用することで、一貫したルールに従う業務プロセスの自動化が可能となり、人手による作業ミスを削減することができます。
具体的には、データ入力や帳票作成、複数のアプリケーション間での情報転記など、ブラウザ操作やデスクトップアクションを必要とするタスクに適しています。
特に、作業負荷の高い純作業から従業員を解放できるメリットが企業から評価されています。
RPAの直面する課題
企業でのRPAの導入が進む一方、課題を抱えていることがわかります。
その一つが、自動化した環境の変化に対応する柔軟性の不足です。
例えば、業務で利用するアプリケーションやウェブページのデザインや仕様が変更された場合です。
RPAは定型業務が設定されているため、そのような変更に臨機応変に対処することが難しく、設定や動作が影響を受け、再構築が都度発生します。
また、RPAは基本的にルールベースで動作するため、複雑な判断や非定型業務には対応が難しくなります。対応するには、判断するシーンごとにルールを複数設定する必要があり、その設定内容はより複雑化していきます。
よって、運用の複雑化とそれに伴うメンテナンスの負担が課題となります。
一度導入されたRPAは、自動化プロセスが増えるにつれて管理が難しくなり、システム障害やエラー発生時のトラブルシューティングに高いコストがかかるという問題があります。
特に業務環境が多様化する中で、各部門で異なる自動化プロセスを維持するための技術的スキルやチーム体制が求められます。その結果、ローコードを謳うRPAも、実際には運用者の負担の増加につながる場合もあります。
2.AIでRPAの課題が解決できるのか?
RPAがブラウザ操作など定型的なタスクを得意とする一方で、生成AI技術やLLM(大規模言語モデル)を活用したツールは、プロセスの柔軟性が高く、非定型業務や高度な意思決定プロセスにも適応できる点が特長です。
単純なタスク自動化を超え、自然言語処理を活用し、指示内容を柔軟に解釈しながらタスクを実行できるため、非定型業務に対しても対応可能な能力を持っています。
この技術は、RPAがカバーしにくかった分野を埋める可能性を秘めています。
ユーザーが簡単な指示や自然な会話形式で指示を出すだけで、曖昧な入力を理解し自動化エージェントが最適な処理を実行するような未来はすでに現実化しつつあります。
また、生成AIは逐次的な更新が不要で、最新の情報を短期間に学習し、適用できる点も特長です。これにより、従来のRPAが抱えていた複雑なメンテナンスや運用課題が軽減される可能性があります。
3.RPAとAIの役割分担の重要性
確かに生成AIは従来のRPAでは難しかった柔軟な対応や判断を可能にしますが、しかしRPAにはルール設定した業務を確実に実行できるという強みがあり、それをAIに端的に置き替えるのは一概にはもったいないです。それぞれのツールには固有の強みがあるため、それぞれの得意分野を生かして共存させるという道が望ましいです。
実際の業務現場では、定型的な処理と柔軟な判断の両方が必要とされます。
データ入力や帳票作成といった定型業務はRPAが正確に処理し、例外的な状況への対応や新しい業務ルールの判断は生成AIが支援するという形で、両者の長所を組み合わせることで、より効果的な業務改善が実現できます。
さらに将来的には、RPAと生成AI(特にLLM)の統合により、自然言語での指示に応答し、予期せぬ状況にも柔軟に対応できる高度な自動化が実現する可能性があります。
他にも、自然言語での指示に応答するRPAが実現すれば、ユーザーはプログラミングの知識がなくても、簡単な指示で複雑な作業を実行できるようになります。
従来のRPAでは対応できなかった定義外の状況でも、生成AIが状況を判断して適切な対応を選択できるようになり、単なる自動化ツールから、より知的な「AIエージェント」として進化していく可能性を秘めています。
4.RPAとAIの統合における課題
RPAとAIの統合には課題も存在します。以下に課題と解決策を提示します。
カテゴリ | 課題 | 解決策 |
---|---|---|
信頼性の確保 | 生成AIの出力の正確性や信頼性の担保 |
|
セキュリティ | 機密情報の取り扱いとデータ保護 |
|
コスト管理 | 導入・運用コストの適正化 |
|
システム統合 | 既存RPAシステムとの互換性維持 |
|
人材育成 | 専門人材の確保と育成 |
|
このように、RPAを排除するのではなく、AIと共存させることで、より効率的で柔軟な業務プロセスを構築することができます。
5.まとめ
生成AIは特にデータの分析や判断が求められる場面で真価を発揮し、RPAが担う定型業務をより高度化する補完的な役割を果たすことができます。
例えば、自然言語での指示に応答するRPAが実現すれば、ユーザーはプログラミングの知識がなくても、簡単な指示で複雑な作業を実行できるようになります。
さらに、LLMとの統合によって、RPAは業務上の想定外の状況にも柔軟に対応できるようになり、従来のRPAでは対応できなかった定義外の状況でも、LLMが状況を判断して適切な対応を選択できるようになります。
今後、生成AIとRPAが融合した形での自動化技術が登場していくと予想されます。
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