AI-OCRとは?仕組み・読み取り精度・業務効率化の効果を解説

公開日:2024/12/18

「AI-OCR」とは、AI技術を活用することによりOCR(光学文字認識)の精度をより向上させて、文字列を読み取る技術や機能をいいます。

従来のOCRと比べると90%以上など格段に読み取り精度が上がっており、AI-OCRの活用で大幅な業務効率化を期待できます。事実、さまざまな自治体や企業での工数削減事例が報告されています。

しかしながら、「なぜAI-OCRの読み取り精度は高いの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。

この記事では、AI-OCRの読み取り精度が高い理由や、AI-OCRを活用してどのような業務効率化が可能なのかなどを詳しく解説していきます。

▼従来のOCRとAI-OCRの出力比較(例)

AI-OCRを活用した業務効率化に興味がある方は、ぜひ参考になさってください。

1. AI-OCRとは

「AI-OCR」とは、AI技術を活用することによりOCR(光学文字認識)の精度をより向上させて、文字列を読み取る技術や機能をいいます。

そもそも「OCR(Optical Character Recognition)」とは何かというと、紙や画像、PDFなどに書かれている手書きやパソコンで作成された文字列を読み取ってテキストデータに変換する技術をいいます。

これにAIの深層学習(ディープランニング)などの技術を導入することによって、読み取る精度をより高めることを実現しています。

AI-OCRはさまざまなソフトウェアに搭載されており、さまざまな文書の読み取りに特化した製品もあれば、特定の業務に特化した製品(例えば契約書管理システムなど)に搭載されているケースもあります。

2. AI-OCRと従来のOCRとの違い

AI-OCRと従来のOCRの明確な違いとしては、AI技術を活用しているか活用していないかどうかの違いにあります。

AIを搭載しているかどうかによって、結果として以下のような違いが現れます。

【AI-OCRと従来のOCRの違い】

 

AI-OCR

従来のOCR(AI非搭載)

文字認識の精度の高さ

高い(90%以上)(※1)

低い(10%〜70%程度)

文字を読み取る仕組み

文脈も参考にして認識

1文字単位で文字を認識

乱筆などの手書き文字

読み取れる(※)

読み取れない

罫線と被った文字

読み取れる(※)

読み取れない

読み取り場所や項目の指定

不要(自動抽出)

必要

様式が異なる文書の読み取り

得意

不得意

読み取った後のデータ変換

自動で連携可能

手作業で作業が必要

※1:システムによって精度は異なります。また書類の解像度やフォーマットによっても変動します。

※2:どのようなデータでも必ず読み取れる訳ではありません。また、AI-OCRの中にもさまざまな性能のものがあるため、読み取り精度に差が現れることがあります。

文字認識の精度や読み取りやすさだけでなく、AI-OCRでは読み取り場所や項目の指定が不要になったり、読み取った後のデータを変換してくれたりということが可能です。そのため、業務効率化に寄与する可能性が高いといえます。

3. AI-OCRの読み取り精度が高い理由

2章で紹介したAI-OCRと従来のOCRとの違いの中で、「なぜAI-OCRの精度が高いのか」という点に着目してさらに詳しく解説していきます。

3-1. AI-OCRでは深層学習(ディープラーニング)を活用しているから

AI-OCRの読み取り精度が高い理由は、深層学習(ディープラーニング)により、AIがあらかじめ大量の文字データを学習して、文字の特徴やパターン、規則性を理解して覚えているからです。

深層学習(ディープラーニング)とは機械学習の1つであり、情報処理の方法を機械に学習させる手法です。ディープラーニングを行うと、人間の脳神経のように過去の経験から学習するようになります。これにより、複雑な判断や分析が可能になるのです。

例えば、従来のOCRでは読み取れない癖のある文字でも、AIは過去の学習データに基づいて最も可能性が高い文字を推測して認識できます。

3-2. 文字を1つずつではなく文脈を理解して調整しているから

AI-OCRの文字認識精度が高い2つ目の理由は、1文字1文字を分解して処理するのではなく、文脈を理解した上で調整した結果を出力するからです。

従来のOCRは、文字を分解して、文字の特徴(形状や線の太さ、カーブなど)を認識して、あらかじめ用意してある文字パターンと比較して「どの文字であるか」を特定していました。

1文字ずつパターンとマッチングさせる方式のため、例えばカタカナの「ソ」と「ン」、漢字の「目」と「日」など、特徴が似ている文字は誤って認識される可能性があります。

しかしながら、ディープラーニングで訓練されているAI-OCRは、文字1つずつではなく複雑な文脈を理解して調整した出力結果を出力できます。例えば「東京都」の「東」が「束」に読める場合でも、文脈を認識した上で「東京都」と正確に変換してくれます。

3-3. あらかじめ登録した情報からマッチングさせることもできるから

AIを活用したOCR製品の中には「データベースマッチング機能」を持つものもあり、これを活用すると、あらかじめ登録したデータベースから最も近いものを選んで出力することもできます。

例えば、読み取った商品名に誤りがあったとしても、特定のコードと紐づいた商品名がデータベース上にあれば、正しい商品名を出力することが可能です。

4. 業務効率化を進めるならAI-OCRの活用がおすすめ

ここまで解説した通り、AI-OCRは従来のOCRよりも高い文字認識を可能にするものであり、業務効率化に大きく寄与する画期的な技術といえます。

また、単に文字を高い精度で読み取るだけでなく、RPAや業務システム、ビジネスチャットなど他の効率化ツールと組み合わせることで、さらに作業効率を大幅にアップさせることが可能です。

4-1. AI-OCRとRPAを組み合わせた業務効率化

例えば、AI-OCRとRPA(定型業務を自動化できるツール)を連携させると、AI-OCRで紙帳票の文字情報を読み取った後に、RPAでシステムにデータ登録させるところまでを自動化することが可能です。

4-2. AI-OCRと契約書管理システムを組み合わせた業務効率化

AI-OCR搭載の契約書管理システムを活用すれば、紙やPDFデータの契約書をアップロードするだけで、契約書のタイトル・企業名・契約締結日・契約終了日などの管理項目を取得して、管理台帳を自動で作成できます。

※入力項目については、当社「OPTiM Contract」の例です。

業務効率化は登録時だけではありません。あらゆる契約書を一元管理できることで契約に関する各部署から法務部への問い合わせも減りますし、締結済みの契約書を複数条件で検索できるため簡単に目当ての契約書にたどり着くことができます。

作業効率の削減はもちろんですが、適切に契約書を管理できることによりコンプライアンスの向上や法的リスクの削減までも担うことが可能です。

以下は当社「OPTiM Contract」の導入前後で比較した際の作業時間と費用の削減効果です。

このように、AI-OCRは他の業務効率化ツールと組み合わせることでさらに大幅な工数削減・費用削減につながる便利な機能です。

5. AI-OCRの導入で大幅な効率化を実現した事例3つ

ここからは、AI-OCRを活用することで大幅な業務効率化を実現した事例を具体的に紹介していきます。

ぜひ成功事例を読みながら、自社でもAI-OCRを導入した場合にどのような成果につながるかイメージしてみてください。

5-1. AI-OCR導入でデータ入力時間が75%削減できた群馬県の事例

群馬県ではDX戦略課を設けて県庁内の業務効率化を推進する中で、県民からのアンケート結果の入力作業の負担を軽減するために、AI-OCRサービスを導入しました。

AI-OCRサービスを導入する前年は1,003名分のアンケートを入力するのに4人掛かりで対応し、かなり大きな業務負担だったそうです。

ところが導入後に約2,200名分のアンケート回答のデータ化にAI-OCRサービスを活用したところ、作業時間が4分の1に減り、約150時間の時間を創出することにつながりました。

参考にした事例:SmartRead「DX推進に向けクラウド版AI OCRを導入。データ入力時間が75%削減され、生まれた時間で県民サービスを向上」

5-2. AI-OCRとRPAの導入で入力作業時間を約8割削減できた岩手県久慈市の事例

次に紹介するのは、AI-OCRとRPA(自動化ツール)を組み合わせることで、入力作業時間を約8割も削減できた岩手県久慈市の事例です。

岩手県久慈市は、相次いで起こった東日本大震災や台風などの対応に追われる一方で、職員数が減少しており、業務を効率化することが課題となっていました。そこで活用したのがAI-OCRとRPAでした。

AI-OCRとRPAの導入により、ふるさと納税の処理業務の作業時間は約78%削減(19.8時間から4.2時間に削減)し、アンケート集計業務は約83%削減(72.1時間から12.2時間に削減)することができたそうです。

参考にした事例:NTT東日本「AI-OCR/RPAで入力作業時間を約8割削減/職員減少が進む自治体の業務効率化を加速」

5-3. AI-OCR搭載システム導入で年250時間の工数削減と適切な契約書管理を実現できた企業の事例

最後に紹介するのは、AI-OCRシステム単体ではなく、AI-OCR機能が搭載されている契約書管理システムで工数削減だけでなく「適切な契約書管理」を実現した事例です。

ラーメン事業・飲食事業を行っている株式会社アースフードは、店舗経営のための賃貸借契約や、厨房機器の保守契約などさまざまな契約類型の契約書の管理に悩んでいました。紙契約書の管理では、内容全文検索ができず契約書を探す時にかなりの時間と工数がかかっており、複数店舗間での共有も課題となっていました

AI-OCR搭載の契約書管理システム「OPTiM Contract」を導入したことにより、紙の契約書をアップロードするだけで精度の高いデータ化を実現することができました。契約終了日も自動で登録できるため、更新時期にお知らせが届き、契約期限管理の工数も削減できました。

契約書がどこにあるかを探し出すのに1件あたり1時間程度かかっていたところを、1分で検索できるようになったのが大きなメリットです。年間にすると約250時間程度の工数削減ができ、必要な契約書の所在がいつでも分かるという適切な管理を実現することができました。

参考にした事例:OPTiM Contract「検索機能で年間約250時間の工数削減シンプルなUIで現場浸透も簡単に」

6. AI-OCRサービスやAI-OCR搭載システムを選ぶポイント

ここからは、AI-OCRサービスやAI-OCR搭載システムを選ぶポイントについて解説していきます。

高い認識率を誇るAI-OCRによる業務効率化を図りたい場合には、具体的なAI-OCRサービスやAI-OCR搭載の業務システムなどの選定を行い、導入を進めていくこととなります。

しかしながら、AI-OCRならどれでも良い訳ではありません。自社に応じて最適なサービスやシステムを選ぶことができなければ、大幅な業務改善に繋がらないかもしれないので注意が必要です。

AI-OCRサービスやAI-OCR搭載システムを選ぶポイント

  • AI-OCRサービス単体で導入するかAI-OCR機能搭載システムを選ぶかを決める
  • AI-OCRの認識率だけで選ばずに業務全体を改善できるシステムを選ぶ
  • システム導入前にトライアルで実際の精度や使いやすさを試す

6-1. AI-OCRサービス単体で導入するかAI-OCR機能搭載システムを選ぶかを決める

AI-OCR導入を検討する際にまず考えてほしいのが、AI-OCRサービスを単体で利用するのか、AI-OCRが搭載されたシステムを選ぶのかという点です。

AI-OCRサービス単体で利用する場合は、各種の書類や帳票を読み取ってテキストデータ化するところまでを行うことができます。読み取ったデータを業務システムに入力したい場合には、システムに取り込める形式に変換した後に手作業でアップロードする必要があります。

一方で、AI-OCR機能が搭載されている業務システムの場合は、読み取ってテキストデータ化した後に、さらに自動で項目ごとに業務システムに入力を行い、台帳なども作成してくれます。さらにシステムによっては、記入漏れや記入ミスをAIがチェックする機能も搭載されています。

文字をテキストデータ化するだけでも効率化は図れますが、「業務を自動化したい」「手作業をできるだけ無くしたい」「大幅な業務効率化を実現したい」という場合には、AI-OCR搭載型の業務システムを選ぶのがおすすめです。

6-2. AI-OCRの認識率だけで選ばずに業務全体を改善できるシステムを選ぶ

AI-OCRサービスやAI-OCR搭載の業務システムを選ぶ場合には、ベンダーが公表している認識率だけで選ばないようにしましょう。それよりも重要なのが、そのサービスやシステムを導入することでどの程度業務を改善できるかという視点です。

ベンダーが公表している認識率はあくまで特定の条件下で計測されたものであり、状況が変われば変動するものなので比較しても意味がありません。ベンダー公称の数字を比較するよりも、トライアルで実際の読み取り精度を体感してみることをおすすめします。

また、仮に認識率が高いAI-OCRを選んだとしても、テキストデータ化した情報を上手くシステムに連携できなければ業務全体の改善効果は限定的になってしまうでしょう。

認識率ではなく、そのサービスやシステムを導入することでどのくらいの工数削減や現場の負担軽減につながるかをポイントに比較することが大切です。

6-3. システム導入前にトライアルで実際の精度や使いやすさを試す

6-2の内容とも関連しますが、システム導入を決定する前にかならずトライアルを実施して、普段業務に使っている帳票などを使って読み取り精度や操作性を確認することをおすすめします。

AI-OCRサービスやAI-OCR搭載の業務システムを比較する上では、実際の業務と同じ状況でテストしないと意味がないからです。

多くのAI-OCRサービスや搭載システムでは無料のトライアルを用意しているので、現場の従業員にも使ってもらって比較・検討しましょう。

7. AI-OCR搭載の契約書管理システムなら「OPTiM Contract」をぜひご検討ください

AI-OCR機能搭載の業務ソフトを探している方の中で、特に「契約書管理」を効率化したい方がいらっしゃいましたら、ぜひ当社のAI契約書管理システム「OPTiM Contract」をご検討ください。

「OPTiM Contract」は当社が開発した高機能なAIエンジンを搭載しており、アップロードした契約書の内容を読み取って自動で適切な項目に入力できるのが特長です。契約書管理に特化しておりコンパクトな機能を低価格で提供しています。

社名や契約開始日、更新期限、取引金額など、契約書管理に必要な情報をAIが読み取って管理台帳に自動で記録してくれるため、時間がかかる契約書の手入力がスピードアップします。

さらに、過去の契約書を探したいときにもAIを活用した検索が可能で、「あいまいな情報でも契約書に辿りつける」と好評です。契約更新日が近づくとメールやシステム内の通知でアラートを受け取れるため、期日管理も漏れなく行えます。

「Adobe Sign」「クラウドサイン」「GMOサイン」「WAN Sign」「Docusign」の電子契約サービスとの連携も可能です。

無料でAI-OCRの精度や機能をお試しできる「無料トライアル」をご利用いただけるので、ぜひまずはお試しください。

まとめ

本記事では「AI-OCR機能」について解説してきました。最後に、要点を簡単にまとめておきます。

▼AI-OCRとは

  • AI技術を活用することによりOCR(光学文字認識)の精度をより向上させて、文字列を読み取る技術や機能のこと
  • そもそも「OCR」とは、紙や画像、PDFなどに書かれている手書きやパソコンで作成された文字列を読み取ってテキストデータに変換する技術
  • AIの深層学習などで読み取る精度をより高めたのがAI-OCR

AI-OCRと従来のOCRとの違い

  • 文字認識の精度:AI-OCRの方が高い
  • 文字を読み取る仕組み:AI-OCRは文脈も参考にして認識
  • 乱筆などの手書き文字:AI-OCRは読み取れる
  • 罫線と被った文字:AI-OCRは読み取れる
  • 読み取り場所や項目の指定:AI-OCRは不要(自動抽出)
  • 様式が異なる文書の読み取り:AI-OCRは得意
  • 読み取った後のデータ変換:AI-OCRは自動で連携可能

AI-OCRの読み取り精度が高い理由

  • AI-OCRでは深層学習(ディープラーニング)を活用しているから
  • 文字を1つずつではなく文脈を理解して調整しているから
  • あらかじめ登録した情報からマッチングさせることもできるから

AI-OCRシステムを単体で導入するだけでも大幅な効率化を図れますが、RPAと組み合わせたりAI搭載の業務システムを活用したりすることでさらなる効率化を進めることができます。

社内に散らばる契約書の管理にお困りの企業がいらっしゃいましたら、AI-OCR搭載の「OPTiM Contract」の無料トライアルを申し込みいただき、読み取り精度や効率化の効果をぜひお確かめください。

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