契約書を紛失したら?最短で解決する対処フローと再発防止策を解説

公開日:2025/03/18

「契約書がどこにも見当たらない……大切な取引先との契約書を紛失してしまうなんて、どうしよう」
このようにお悩みではありませんか。

紙の契約書の管理に苦慮する企業は、少なくありません。契約書紛失は、取引先との信頼関係を損なうだけでなく、法的トラブルに発展する可能性もはらんでいます。

本記事では、契約書紛失からの最短解決フローとして、適切な初期対応から二度と紛失しない再発防止策まで詳しく解説します。

最後までお読みいただくと、契約書を紛失したとき、やるべきことを把握し、スピーディーな解決に向けて行動できるようになります。さっそく対応方法を見ていきましょう。

1. 契約書紛失時に最初に行う4つの初期対応

紛失に気づいたら、慌てずに以下の初期対応を行いましょう。4つのポイントがあります。

  1. 徹底的に再捜索する
  2. 電子データや控えを確認する
  3. 社内の関係者へ確認する
  4. 紛失時期や経緯を整理し記録する

1-1. 徹底的に再捜索する

まずは、社内のありとあらゆる場所を隈なく探し直します。最後に契約書を見たのはいつ・どこかを思い出し、その周辺を重点的に調べることが大切です。

【探し直すべき場所】

  • 普段の保管場所:普段、契約書を保管している場所を入念に調べます。キャビネットや金庫、役員の机の引き出しなど、契約書の保管場所として思い当たる場所は念入りにチェックしましょう。
  • 最後に見た場所:最後に契約書を目にしたのはどこでしょうか。打ち合わせで使用した会議室や、コピーを取ったプリンター周りなども確認が必要です。
  • 自席周り:自分の机の引き出しや本棚、資料棚などを隅々まで探します。ほかの書類に紛れている可能性もあるので、1枚1枚、丁寧に確認しましょう。

探し出せなくても、探した場所や状況を記録しておきましょう。後の捜索や経緯の説明に役立ちます。

1-2. 電子データや控えを確認する

原本が見つからない場合でも、電子データや契約書の控えが残っていないか確認します。社内の複数の情報源を漏れなくチェックすることが大切です。

【確認すべき電子データ・控え】

  • PCやクラウド上の契約書ファイル:契約書のスキャンデータやPDFファイルが保存されていないか、PCのフォルダやクラウドストレージ、外付けHDDなどを探します。目視のほか、「契約書」「覚書」「〇〇社」など、関連ワードで検索しましょう。
  • メールの送受信履歴:取引先との契約書のやりとりをメールで行っていた場合、そのメールデータをチェックしましょう。社内の関係部署への転送メールも見落とさないようにします。
  • 控えの原本:控えとして保管していた契約書の原本があれば、それを探し出します。通常の保管場所とは別の場所に保管していないか、複数の担当者に確認を取ることが大切です。

電子データや控えの有無を早期に確認できれば、原本紛失の影響を最小限に抑えられます。

1-3. 社内の関係者へ確認する

契約書をほかの従業員が預かっている可能性もあります。関連部署への確認を徹底しましょう。

【確認すべき社内関係者】

  • 上司や同僚:自分の上司や同僚が、契約書を一時的に預かっていないか確認します。社内会議や打ち合わせで契約書を持ち出した記憶がある場合は、とくに入念に確認が必要です。
  • 他部署の担当者:経理部門や法務部門など、契約書に関連する他部署の担当者にも声をかけましょう。担当者が不在の場合は、その上司や同僚への確認も忘れずに行います。
  • 秘書や総務担当者:社内の秘書や総務担当者が、保管や管理の一環として契約書を預かっている可能性もあります。日頃から契約書管理に関わる部署の担当者にも、一声かけることが重要です。

社内の関係者への確認は、情報共有の点でもメリットがあります。契約書紛失の事実を広く社内に周知しながら、全社的な捜索を進めていきましょう。

1-4. 紛失時期や経緯を整理し記録する

いつ頃、どのような状況で紛失したのかを時系列で整理します。可能な限り詳細を思い出し、記録に残すことが重要です。

【整理・記録すべき情報】

  • 最後に契約書を確認した日時:契約書を最後に手にした日時を正確に思い出します。日付だけでなく、できれば時間帯も特定しましょう。
  • 最後に契約書を確認した場所:最後に契約書を見た場所の詳細を記録します。オフィスの執務室なのか会議室なのか、社外の打ち合わせ先なのかなど、場所の詳細を明記することが大切です。
  • 最後に契約書を取り扱った際の行動:契約書を最後に手にした後、どのような行動を取ったのかを思い出します。ほかの書類とまとめてファイリングした記憶がないか、誰かに手渡した記憶がないかなど、その後の一連の流れをたどります。

紛失に至った経緯を時系列で整理すれば、紛失原因の特定にもつながります。記録した情報は、社内の関係者と共有し、捜索の手がかりとしましょう。

2. 契約書紛失による影響とリスクを特定する

念入りな捜索を経て契約書の紛失が確定したら、紛失による具体的な影響とリスクを洗い出しましょう。想定されるダメージを把握すれば、その後の対応の優先順位が明確になります。

  1. 法的効力の問題
  2. 取引先との信頼関係への影響
  3. 機密情報漏えいのリスク
  4. 契約更新・変更時のトラブル
  5. コンプライアンス違反となる可能性

2-1. 法的効力の問題

契約書原本の不在は、法的な効力に影響を及ぼす可能性があります。トラブル発生時の立証が難しくなるリスクを、認識しておくことが重要です。

【想定される法的問題】

  • 契約不履行の立証困難:トラブル発生時に、契約書原本がないと契約不履行を立証しづらくなります。口頭での合意内容は、法的な証拠としては不十分なケースが多いためです。
  • 契約解釈の齟齬:契約書がない状態では、取引先との契約解釈にズレが生じやすくなります。取引開始後に、条件の解釈を巡って争いになるリスクが高まります。
  • 法的な権利主張の弱体化:紛争時に、自社の正当な権利を主張する法的根拠が失われます。損害賠償請求など、法的な権利行使が難しくなる恐れがあります。

紛失期間が長引くほど、法的な不利益は大きくなります。早期の解決が求められる理由のひとつです。

2-2. 取引先との信頼関係への影響

契約書紛失は、取引先からの信用低下にもつながりかねません。ビジネスパートナーとしての信頼を損なわないよう、慎重な対応が必要です。

【信頼低下のリスクシナリオ】

  • 管理体制への不信感:重要書類である契約書の紛失は、社内管理体制のずさんさの表れと受け取られます。取引先から管理能力の低さを疑われる可能性があります。
  • 情報セキュリティへの懸念:契約書には機密情報が含まれていることがあります。紛失が情報漏えいにつながるのではないかと、取引先が不安を抱くケースも考えられます。
  • トラブル対応への不安:契約書がないと、何かトラブルが発生した際の対応に不安を抱かれる可能性があります。取引先との間で認識の相違が生じやすくなるためです。

信頼の毀損は、取引の継続や新規案件の獲得にも影響します。紛失の事実はすみやかに取引先に報告し、誠意ある対応を心がけましょう。

2-3. 機密情報漏えいのリスク

契約書には、機密性の高い情報が含まれていることが少なくありません。紛失により、外部への情報漏えいが懸念されます。

【漏えいリスクのある情報例】

  • 取引条件:取引価格や取引量、納期などの取引条件は、競合他社に知られると営業上の不利益につながります。自社の価格交渉力の低下や、競合への顧客流出などが懸念されます。
  • 技術情報:契約書には、製品の仕様や製造方法、特許情報などの技術的な情報が含まれていることもあります。これらの情報が外部に漏れると、自社の競争優位性が失われる危険性があります。
  • 個人情報:取引先の担当者名や連絡先などの個人情報が契約書に記載されている場合、紛失により個人情報の漏えいが懸念されます。取引先の信用失墜や、法的な制裁を受けるリスクが高まります。

情報漏えいは、自社の競争力低下や法的責任につながります。紛失した契約書の回収を最優先し、情報管理体制の見直しも検討しなければなりません。

2-4. 契約更新・変更時のトラブル

契約書は、契約期間の更新や内容変更の際に必要になります。原本がなければ、スムーズな契約更新・変更の妨げとなる可能性があります。

【想定されるトラブル例】

  • 契約内容の不一致:契約更新や変更の際、原本がないと契約内容の食い違いが生じやすくなります。口頭での合意内容の解釈の相違から、トラブルに発展する恐れがあります。
  • 更新・変更手続きの遅延:契約書原本の紛失は、契約更新や変更の手続きを遅らせる要因になります。取引先との調整に時間を要し、取引に支障をきたすおそれがあります。
  • 契約解除のリスク:最悪の場合、契約更新や変更の合意ができず、取引先から契約を解除されるリスクもあります。長年の取引関係が途絶える危険性があります。

契約書は、取引関係の継続に不可欠な存在です。原本の管理には細心の注意を払うことが求められます。

2-5. コンプライアンス違反となる可能性

業種や取引内容によっては、契約書の紛失自体がコンプライアンス違反に問われる可能性があります。法令順守の観点からも、適切な管理が求められます。

【コンプライアンス違反の例】

  • 個人情報保護法違反:契約書に個人情報が含まれている場合、紛失により個人情報保護法違反に問われるおそれがあります。法律で定める安全管理措置を講じていなかったと判断された場合、行政処分や賠償請求のリスクがあります。
  • 情報管理体制の不備:契約書の紛失は、社内の情報管理体制の不備の表れとして、監督官庁から指導を受ける可能性があります。情報管理体制の改善を求められる事態にもなりかねません。

コンプライアンス違反は、会社の信用失墜や経営への悪影響が大きいだけに、慎重な対応が必要不可欠です。契約書の適切な管理は、単なる実務上の問題ではなく、法令順守の問題でもあることを認識しておきましょう。

以上、5つのポイントを解説しました。

ここまでのリスク評価を経て、リスクが限定的であることが明確な場合は、「あえて何も対応しない」ケースもビジネス判断としてはあり得るでしょう。

たとえば、あとわずかな期間で自動更新となり、新たな契約書が発行される場合などは、リスクは限定的です。一方、通常はリカバリー対応を取る必要があります。以下に続きます。

3. 契約書紛失からのリカバリー対応手順

ここからは具体的なリカバリー対応について見ていきましょう。冷静さを保ちつつ、迅速に行動することが大切です。

  1. 取引先へ誠意ある説明と謝罪を行う
  2. 契約書の再発行を依頼する
  3. 再発行にかかる費用を確認する
  4. 覚書や合意書を作成する(必要な場合)
  5. 謝罪文を送付する(必要な場合)
  6. 契約書の再発行手続きを進める

3-1. 取引先へ誠意ある説明と謝罪を行う

真っ先に、取引先企業へ紛失の事実を報告します。誠意を持って事情を説明し、謝罪することが大切です。

【説明・謝罪のポイント】

  • 迅速な報告:紛失が確定次第、できるだけ早く取引先に報告しましょう。隠蔽や報告の遅れは、信頼関係の毀損につながります。
  • 経緯の詳細な説明:紛失の経緯を詳細に説明し、取引先の理解を得ることが重要です。事実関係を明確にし、隠し事のない説明を心がけましょう。
  • 再発防止策の提示:二度と同じ過ちを繰り返さないための再発防止策を提示します。情報管理体制の改善策や、具体的な取り組みについて言及しましょう。

誠実な対応は、取引先の理解を得るための第一歩です。トップ自らが謝罪するなど、会社を挙げての対応が求められる場面もあります。

3-2. 契約書の再発行を依頼する

契約書の再発行を取引先に依頼します。スムーズな再発行のために、自社から積極的に働きかけることが大切です。

【再発行の依頼ポイント】

  • 契約内容の再確認:取引先と契約内容を再度確認し、齟齬のないよう注意しましょう。双方の認識を一致させることが円滑な再作成につながります。
  • 再発行の優先順位の検討:複数の契約書を紛失している場合、再作成の優先順位を検討しましょう。取引に与える影響の大きさや、契約更新の時期などを考慮して決定します。
  • 電子データの提供:再作成の際、自社側で保持している関連資料や電子データを取引先に提供し、作業の効率化を図ることも有用です。

再発行には、取引先の協力が不可欠です。互いの信頼関係をベースに、円滑な再発行を目指します。

3-3. 再発行にかかる費用を確認する

契約書の再作成には、印紙代などの費用がかかることがあります。紛失はこちら側の責任であることを踏まえ、費用負担は自社で行うのが基本です。

【費用負担の確認ポイント】

  • 印紙代の負担:単に原本の写しを再取得するだけなら、あらためて印紙を貼付する必要はありません。一方、再作成した契約書が、実質的に新たな契約(=新規契約)とみなされる場合、印紙税法に基づき、印紙を貼付する必要があります。
  • 郵送料などの負担:再作成された契約書の郵送料や、再作成の依頼に伴う事務コストなどが発生する場合、これらの費用も自社側で負担しましょう。

費用負担の件で取引先と折衝する際は、自社に非があることを認識し、誠意を持って対応することが求められます。取引先の理解と協力を得られるよう、丁寧なコミュニケーションを心がけましょう。

3-4. 覚書や合意書を作成する(必要な場合)

再発行や再作成に時間を要する場合、暫定的な覚書や合意書を作成することもあります。取引先と協議のうえ、必要に応じて検討しましょう。

【覚書・合意書の作成ポイント】

  • 暫定的な取り決めの明文化:再発行までの間の取引条件を明文化します。契約書がない状態での取引ルールを、文書で取り交わすことが目的です。
  • 有効期限の設定:覚書や合意書には、有効期限を設けましょう。契約書の再発行が完了するまでの期間を想定して、適切な期限を設定します。
  • 覚書・合意書の法的効力の確認:覚書や合意書の法的効力について、必要に応じて弁護士に確認を取ります。契約書に代わる法的拘束力があるか、確認が必要です。

覚書や合意書は、あくまで暫定的な措置です。契約書の再発行を最優先に進めることが大切です。

3-5. 謝罪文を送付する(必要な場合)

取引先との関係性によっては、あらためて謝罪文を送付することも検討しましょう。紛失の事実と再発防止の決意を伝えることが目的です。

【謝罪文送付の際の留意点】

  • 送付タイミングの見極め:謝罪文の送付タイミングは、取引先との協議状況を見て判断します。再発行の目途が立った段階での送付が適切でしょう。
  • トップ名での送付:会社を代表してトップの名前で謝罪文を送付すれば、会社の姿勢を示すことにつながります。状況に応じて検討しましょう。
  • 再発防止策の具体的な言及:謝罪文の中では、再発防止策について具体的に言及します。情報管理体制の改善策や、再発防止に向けた取り組みについて、明確にコミットすることが重要です。

謝罪文は、形式的なものではなく、誠意が伝わる内容であることが大切です。取引先の立場に立って、真摯な謝罪の気持ちを込めることを心がけましょう。

3-6. 契約書の再発行手続きを進める

取引先との合意が得られたら、すみやかに契約書の再発行手続きを進めます。滞りなく進めるために、社内の関連部署との連携を密にすることが大切です。

【再発行手続きの進め方】

  • 稟議書の作成:契約書の再発行には、社内規程に基づき稟議書の作成が必要な場合があります。必要に応じて、紛失の経緯や再発行の理由、取引先との合意内容などを明記し、決裁を受けましょう。
  • 契約書の作成・押印:稟議の承認後、取引先との間でどちらが契約書を作成するかを調整し、作成を進めます。契約書の日付は再作成日とし、必要に応じて但し書きを追記します。双方が押印して契約書を完成させます。
  • 契約書の保管:再作成した契約書の原本は、二度と紛失しないよう、厳重に保管します。鍵付きキャビネットや金庫などで保管し、電子データでバックアップを取ることも重要です。

再発行手続きは、社内の稟議や印紙の手配など、一定の時間を要するプロセスです。関連部署と綿密に連携し、遅滞なく進めましょう。

4. もう繰り返さない契約書紛失の再発防止策

二度と同じ過ちを繰り返さないためには、抜本的な再発防止策が欠かせません。ハード面とソフト面の両面から、万全の管理体制を構築しましょう。

  1. まず契約書管理システムを導入すべき
  2. 物理的な保管方法を見直す
  3. 持ち出しルールを徹底する
  4. 定期的な棚卸しとダブルチェック体制を構築する

4-1. まず契約書管理システムを導入すべき

まず早急に実行すべきなのが、契約書管理システムの導入です。システム管理により、紛失リスクを大幅に低減できます。

電子化と一元管理を進め、契約書の所在を常に把握できる体制を整えましょう。

【契約書管理システムのおもな機能】

  • 電子化:紙の契約書をスキャンし、電子データ化します。OCR機能により、テキストデータとしても保存可能です。
  • 一元管理:電子化された契約書データを、クラウド上のシステムで一元管理します。部署を越えた情報共有が可能になります。
  • 検索機能:キーワードやタグを使った検索機能により、必要な契約書をすぐに見つけ出せます。契約書の所在をリアルタイムで把握できます。

契約書管理システムは、紛失リスクの低減だけでなく、業務効率化にも寄与します。導入のコストを上回るメリットがあるといえるでしょう。

具体的なソリューションとしては、「OPTiM Contract」が挙げられます。

OPTiM Contractは、契約書の管理コストやリスクを削減し、人的ミスをなくすAI契約管理システムです。契約書の電子化やアクセス管理、強固なセキュリティ対策により、契約書の紛失リスクを大幅に低減し、安全かつ効率的な契約管理を実現します。

OPTiM Contractの詳細は、以下のリンクより資料をダウンロードしてご確認いただけます。

4-2. 物理的な保管方法を見直す

紙の契約書の保管方法を見直すことも重要です。保管場所の施錠やアクセス制限など、物理的なセキュリティを強化しましょう。

【保管方法見直しのポイント】

  • 施錠可能なキャビネットでの保管:契約書は、施錠可能なキャビネットや金庫で保管します。鍵の管理を厳重に行い、アクセスできる人を限定することが大切です。
  • アクセス制限の徹底:契約書の保管場所への立ち入りを制限し、必要最小限の人だけがアクセスできる運用ルールを定めます。入退室の記録を残すことも検討しましょう。
  • 防火・防水対策の実施:火災や水害から契約書を守るため、耐火・防水性能の高い保管庫を選定します。万一の災害時にも、契約書が失われないよう備えることが大切です。

物理的な保管方法の見直しは、契約書管理システムの導入と並行して進めることが理想的です。二重の防御ラインを敷いて、紛失リスクをより確実に低減しましょう。

4-3. 持ち出しルールを徹底する

契約書の社外への持ち出しには、厳格なルールを設ける必要があります。安易な持ち出しが紛失のリスクを高めることを、従業員全員が認識すべきです。

【持ち出しルールの例】

  • 上長の承認:契約書の社外持ち出しには、上長の承認を必須とします。承認なしの持ち出しは禁止し、違反した場合の罰則規定を設けることも検討しましょう。
  • 持ち出し記録の作成:持ち出しを承認する際は、持ち出し記録を作成します。持ち出し日時や目的、返却予定日などを明記し、確実に返却されたことを確認します。
  • コピーの活用:できる限り、契約書原本の持ち出しは避けるべきです。やむを得ず持ち出す際は、コピーを活用することを推奨しましょう。

持ち出しルールの運用には、管理職の理解と協力が不可欠です。ルールの趣旨を丁寧に説明し、運用面での負担をサポートしましょう。

4-4. 定期的な棚卸しとダブルチェック体制を構築する

紙の契約書については、定期的な棚卸しを実施することが重要です。所在の確認と、ダブルチェックによる管理体制の構築を進めましょう。

【棚卸しとダブルチェックの方法】

  • 年1回の棚卸し:年に1回、契約書の棚卸しを実施します。契約書管理台帳と照合し、すべての契約書の所在を確認します。
  • 複数人でのダブルチェック:棚卸しは、かならず2人以上で行います。1人が確認した契約書を、もう1人が再度確認するダブルチェック体制を敷くことが重要です。
  • 日常的な所在確認:日常的にも、契約書の出し入れをする際は、かならず管理台帳に記録を残します。台帳と実際の所在に齟齬がないか、定期的に確認します。

棚卸しの結果は、管理職に報告し、問題があれば迅速に対処します。確認作業は手間がかかりますが、紛失リスクを低減するためには必要不可欠な取り組みです。

一方、紙の契約書の管理には限界があります。できるだけ早期に契約書管理システムの導入を進め、電子化を推し進めていくことが望ましいでしょう。紙の契約書を減らし、デジタル管理へとシフトしていくことが、紛失リスクの抜本的な解決につながります。

5. まとめ

本記事では「契約書の紛失」をテーマに解説しました。要点をまとめておきましょう。

契約書紛失時に最初に行う4つの初期対応は、以下のとおりです。

  1. 徹底的に再捜索する
  2. 電子データや控えを確認する
  3. 社内の関係者へ確認する
  4. 紛失時期や経緯を整理し記録する

紛失が確定したら、その影響とリスクを特定しましょう。

  1. 法的効力の問題
  2. 取引先との信頼関係への影響
  3. 機密情報漏えいのリスク
  4. 契約更新・変更時のトラブル
  5. コンプライアンス違反となる可能性

契約書紛失からのリカバリー対応手順は以下のとおりです。

  1. 取引先へ誠意ある説明と謝罪を行う
  2. 契約書の再発行を依頼する
  3. 再発行にかかる費用を確認する
  4. 覚書や合意書を作成する(必要な場合)
  5. 謝罪文を送付する(必要な場合)
  6. 契約書の再発行手続きを進める

もう繰り返さない契約書紛失の再発防止策として、以下を解説しました。

  1. まず契約書管理システムを導入すべき
  2. 物理的な保管方法を見直す
  3. 持ち出しルールを徹底する
  4. 定期的な棚卸しとダブルチェック体制を構築する

契約書は、取引関係の根幹を成す重要書類です。適切な管理体制を構築し、紛失リスクを低減していきましょう。

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