電子帳簿保存法とは?
保存ルールやメリットなど基本から解説!

公開日:2023/08/04

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電子帳簿保存法とは?意味を分かりやすく解説

電子帳簿保存法は、2つの制度を定めた法律です。
1つ目の制度では、税法上で保存が義務付けられている紙の帳簿や書類について、一定の要件を満たす場合には紙媒体ではなく電子データやスキャンデータでの保管が認められています。
2つ目の制度では、税法上では保存義務がない電子取引のデータについて、保存義務が定められています。法人税法では、書面でやり取りされた書類のみが保存義務とされていますが、電子帳簿保存法では、取引においてデータで情報がやり取りされた場合には、その取引データを保存する必要がある、とされています。

電子帳簿保存法の対象企業

電子帳簿保存法は、所得税や法人税に関連する国税関係帳簿書類の保存義務者を対象としています。これには、法人税を納める普通法人や公益法人など、所得税の納税義務がある事業を営む個人事業主が含まれ、事業規模の大小は問われません。

また、電子帳簿保存法によって電子保存が義務付けられた電子取引についても、同様に法人税を納める法人や所得税を納める個人事業主が対象となります。どちらの場合も、要件に適合した電子保存に対応する必要がありますので、注意が必要です。

電子取引に係るデータの保存義務に関する制度

電子取引における電子保存とは、注文書や契約書などの取引情報を電子記録の授受によって行われることを指します(電子帳簿保存法第2条第5号)。企業は、このような電子取引を行った場合、特定の規則に従ってその情報を保存する必要があります(電子帳簿保存法第7条)。

なお、2022年の改正により、電子取引の情報を書面に出力して保存する方法は廃止されました。ただし、この改正では、2022年1月1日から2023年12月31日までの2年間、以下の特定の要件をすべて満たす場合に限り、上記の期間中には電子取引の情報を紙媒体で印刷して保存することなども認められています。

宥恕措置の適用要件

1)電子取引に関して、保存義務者が納税地の所轄税務署長によって、電子帳簿保存法の要件に従った電磁的な記録の保存が不可能であるとやむを得ない事情が認められたこと。
2)保存義務者が、質問検査権に基づく当該電磁的な記録の出力書面(整然とした形式であり、明瞭な状態で出力されたものに限る)の提示または提出の要求に応じることができるようにしていること。

2023年改正で変更された適用要件

電子帳簿等の保存に関して、大きな適用要件の見直しは特に行われていません。ただし、軽減措置の対象範囲が見直されており、この軽減措置を受けるためには適用を受けようとする法定申告期限までに「国税関係帳簿の電磁的な記録等による保存に関する過少申告加算税の特例の適用を受けることを届ける書類」を提出する必要があります。

一方で、2023年の改正により、スキャナ保存の適用要件は変更されました。具体的な変更内容は以下の通りです。 1)解像度、諧調、大きさに関する情報の保存が不要となりました。これは、国政関係書類をスキャナ保存する際の解像度(200dpi以上)や階調(原則的にはカラー)の設定は以前と同じですが、保存されるデータ内にそれらの情報を保持する必要がなくなったということです。 2)スキャナ保存時における入力者等の情報確認要件が不要となりました。つまり、スキャナで読み取り作業を行った人の情報を確認する必要がなくなりました。

また、国税関係書類においては、スキャナで読み取った書類に帳簿との相互関連性が求められるのは「重要書類」に限定されるようになりました。重要書類とは、契約書、領収書、送り状、納品書などのように資金やモノの流れに直接的に関連する書類を指します。したがって、重要書類以外の書類については、帳簿との関連性を必要とされなくなりました。

電子取引に係るデータを電子保存するためのルール

電子取引情報を電子保存する際には、以下の4つの観点からルールを遵守する必要があります。それは、①真実性の確保、②関係書類の備え付け、③見読可能性の確保、④検索機能の確保です。
まず、電子データは容易に改変される可能性があるため、その内容が真実であることを確実に保証しなければなりません(①真実性の確保)。
また、電子データが保存されているシステムが信頼性の高いものであることを確認するために、システムのマニュアルを備えておく必要があります(②関係書類の備え付け)。
さらに、数値やタグに置き換えられて解読が困難になったり、保存場所が分かりづらくなったりすると、税務調査を適切に行うことができません(③見読可能性の確保、④検索機能の確保)。 このような理由から、電子取引情報の電子保存に関するルールが定められているのです。

電子帳簿保存法に違反した場合のペナルティ(罰則)

2022年の改正により、帳簿書類や電子取引情報の電子的な保存に関する手続きや要件が大幅に緩和されました。しかし、不正行為の防止のために、不正行為に対するペナルティが強化されています。

電子帳簿保存法に違反した場合のペナルティは以下の通りです(電帳法8条5項)
1)スキャナ保存に関して
スキャナで保存された国税関係書類の電子データにおいて、隠蔽や改ざんなどの不正な事実がある場合、その事実に関連する申告漏れなどに対して課される重加算税が10%加重されます。
2)電子取引情報の保存について
電子的に保存された電子取引情報において、隠蔽や改ざんなどの不正な事実がある場合、その事実に関連する申告漏れなどに対して課される重加算税が10%加重されます。(電帳法8条5項)。

電子帳簿保存法に基づく電子帳簿保存運用を開始するメリット

① 経理業務の効率化とデジタル化

電子帳簿保存制度の導入により、請求書や領収書などの経理書類をスキャナ保存することができます。また、取引先も電子化に対応していれば、請求書や領収書のやりとりもデジタル化できます。これにより、経理業務における紙の取り扱いや保管作業が削減され、作業効率が向上します。さらに、電子帳簿のデータは検索しやすく、紙の保管に伴う問題も軽減されるほか、経理の自動化にも貢献します。

② オフィスのスペース効率化と省スペース化

国税関係帳簿書類は一定期間保存する必要があり、一定のスペースが必要でした。しかし、電子帳簿保存制度の導入により、電子化された帳簿や書類の保存場所を大幅に削減できます。オフィスのスペース効率が向上します。

③ セキュリティの強化と情報漏えいリスクの低減

紙の帳簿書類は盗難や火災などのリスクがあります。電子帳簿保存制度の導入により、情報漏えいのリスクを低減できます。データのセキュリティ強化とバックアップによって、情報の安全性を確保できます。

④ コスト削減と印紙代の削減

紙の帳簿作成には紙代やインク代、切手代、ファイル代などのコストがかかります。また、保管場所の確保にも費用がかさみます。電子帳簿保存制度の導入により、これらのコストを削減できます。また、電子契約も導入することで印紙代の削減も可能です。

⑤ 過少申告加算税の軽減と優良な電子帳簿の要件

一定の国税関係帳簿について、電子帳簿の要件を満たして保存している場合、過少申告加算税が5%軽減されます。優良な電子帳簿の要件を満たすことで、追加の税金負荷を軽減できます。

電子帳簿保存法に基づく電子帳簿保存運用を開始するデメリット

① システム導入にかかる時間と費用

電子帳簿保存制度を導入するには、法律で定められた保存要件を満たすシステムを導入する必要があります。そのため、初期投資として時間と費用がかかる傾向があります。ただし、長期的な視点で見れば、電子帳簿保存制度には多くの利点がありますので、システム導入は長期的にはメリットがあると言えます。ただし、電子帳簿保存制度の普及に伴い、様々な会社がシステムを開発していますが、一度導入したシステムからの乗り換えが困難な場合もあるため、導入時には自社の規模や特性に合ったシステムを選択する必要があります。

② 電子帳簿保存法の要件を理解できる人材の必要性

電子帳簿保存法に基づいて電子データを保存するには、複雑な要件を満たす必要があります。電子帳簿保存法を理解している専門知識を持った人材を採用するか、研修して育成する必要があります。要件を適切に把握し、対応することが必要です。

③ システム障害やセキュリティリスクへの対策必要性

経理をシステム化する場合、システム障害のリスクは避けられません。また、セキュリティ対策が不十分な場合、情報漏えいのリスクも存在します。これらは業務のIT化に伴う避けられないリスクですが、システム導入前にはシステム提供元に対策や問題発生時の対応方法を具体的に確認し、信頼できるシステムを導入することで、リスクをある程度軽減できます。
これらのデメリットは電子帳簿保存制度の導入に伴う課題と言えますが、適切な対策とシステム選定により、効果的な電子帳簿保存を実現することが可能です。

電子データ保存におけるポイント

電子データ保存にはいくつかのメリットがあります。まず、電子データは紙の書類と異なり、保存スペースを確保する必要がないため、郵送代やファイリングにかかるコストを削減できます。また、以前は電子帳簿保存やスキャナ保存において「税務署長の事前承認が必要」という制約がありましたが、2022年の法改正でこの制約が廃止されました。さらに、タイムスタンプの不要化や保存期間の延長など、電子データ保存を進める企業にとっては好ましい変化となります。

一元管理の難しさ

以前は、電子データで受け取った書類を電子保存と紙保存の両方で管理することが容認されていました。請求書などを電子データで受け取った場合でも、印刷して紙で保存することが可能でした。 しかし、改正により、電子データで受領した請求書を紙に印刷して保存することは認められなくなり、電子保存(電子取引データの保存)のみが許可されるようになりました。一方で、紙で受領した請求書の電子保存(スキャナ保存)については、税務署の承認が不要となり、紙か電子のどちらで保存するか選択することが可能です。 この変更により、電子データを印刷して紙の請求書と一緒に管理することは困難となり、紙を電子化して一元管理することが推奨されるでしょう。

まとめ

ここまで、電子帳簿保存法について整理してきました。
概要やデータ保存の要件などを理解して、組織にとって最も適した対応と運用を検討する必要がありますが、2024年1月の宥恕期間終了に間に合うよう対応を進める上ではExcelやクラウドツールなど管理方法にはさまざまな選択肢があります。
特に、専用の管理ソフトウェアやクラウドベースの管理ツールを導入すると、電子帳簿保存法に則した帳票書類の保存だけでなく、検索性の向上、一元管理や権限管理の面での業務効率化を行うことができます。
その中でも、OPTiM 電子帳簿保存は、こんな課題を解決できるツールのため、おすすめです。

課題1: 電子帳簿保存法やインボイス制度の対応が難しく、正しく準備できるか自信がない。
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