システムの提案からオフィス環境構築まで、ITにまつわる最適なソリューションを提供する大塚商会は、製品・ソリューションの展示会「実践ソリューションフェア」を毎年2月に開催している。2022年はコロナ禍での開催となったが、オンラインとオフラインを組み合わせたイベントとして開催され、会場では、リアルなステージやブースが登場した。会場では、業務の課題別に展示エリアを設計、オフィスのデジタル化をアシストするソリューションを中心とするコーナーを設けた。
このなかで登場したソリューションのひとつに「OPTiM AI Camera」がある。ただ展示するだけでなく、実際にイベントの商談コーナーの混雑具合の可視化を行い、イベントの課題を解決。AIカメラの価値を訴求したとのこと。詳しい内容について大塚商会の担当者に聞いた。
AIカメラをブースに設置。顧客接点強化の付加価値に
2022年2月8日からの3日間にわたり開催された、大塚商会主催のITの総合展示会&セミナー「実践ソリューションフェア」。かねてよりITソリューションなど幅広い製品を展示してきた。東京会場開催は45回目を迎えるイベントで、例年1万5,000人近くの来場者でにぎわう。
今回は「あなたのための、DXでありたい。」をテーマに掲げ、顧客目線のDX推進を提案。会場を疑似的な「DXオフィス」に見立て、「業務」「働き方」「意思決定」「顧客接点」「IT環境」「ものづくり」にソリューション群を分類して活用例を示した。「OPTiM AI Camera」を紹介したのは、「顧客接点」のゾーン。展示の担当者である統合戦略企画部の山田龍吉(やまだ・たつきち)氏は、その狙いについて次のように話す。
「顧客接点ゾーンには、小売店の店舗や商業施設において顧客サービスに付加価値をもたらすソリューションを用意しました。そのひとつとして『OPTiM AI Camera』を展示した形です。実際、当日は事業に店舗運営を含んでいらっしゃるお客様がこのゾーンに足を運ばれるケースが多かったです」(山田さん、以下同)
大塚商会は、DX推進に役立つITソリューションを多種多様な業種の取引企業約28万社に向けてアプローチできるところが強みである。「実践ソリューションフェア」でも、幅広い業種の企業が課題解決の可能性を見つけることができる。
「『OPTiM AI Camera』は、ラーメン店や自転車店を経営されているお客様から大きな関心を寄せられていました。ラーメン店の課題は、デジタルとアナログのデータの融合でした。注文方法が発券機と直接のオーダーの2通りのため、メニューの売れ行きの情報を一元管理したいというご要望があり、AIカメラを活用して測定できないか検討しました。また、自転車店はマーケティングと混雑可視化のソリューションを検討されており、AIカメラを店舗に設置することに関心をお持ちいただきました」
「OPTiM AI Camera」は混雑把握のベストソリューション
当日は、離れた2カ所の商談コーナーに「OPTiM AI Camera」を設置。デジタルサイネージで混雑状況を表示させることで、来場者に使い勝手を確認してもらったという。
「店舗をお持ちのお客様は、特にコロナ禍をきっかけに混雑を避けるためのソリューションをリサーチされています。『OPTiM AI Camera』は匿名化した混雑状況の画像を自動で発信できますので、エンドユーザーの利便性や安心感につながるという意味で、非常に有効なツールだと実感しています」
商談コーナーの空き状況の確認は、これまでもイベントで課題となっていた。今回、「OPTiM AI Camera」を導入したことにより、ひと目で利用状況・混雑状況が把握できるようになったという。
「フェアは多くのお客様にご足労いただくため、これまでも混雑で商談をお待たせしないように、さまざまな対策を講じてきました。たとえば、着座センサーを椅子のクッションに装着して、商談コーナーの利用を把握していた時期もあります。ただ、レイアウトが変わると使えなかったり、センサーを紛失したりとトラブルもありました。それまでの課題は打ち合わせの回転率を上げてお客様をお待たせしないことでしたが、コロナ禍の開催における課題としては三密対策ということで、目的は変わったもののAIカメラの活用はベストソリューションだったと思います」
「OPTiM AI Camera」 はクラウドでデータを解析するため、ネットワークカメラを設置するだけですぐに利用を始めることができる。短期間のイベントでも、解析用のハードウエアなどが必要ないので、導入しやすい点が魅力だ。
また、当日は12台のAIカメラを活用して会場全体の混雑状況を可視化。来場者向けのパンフレットにQRコードを記載し、スマホで読み取ることで混雑状況を掲載したWebサイトにアクセスできるようにもした。
大塚商会は、顧客に取扱製品やソリューションを提案するにあたり、まず自社で活用してみることをポリシーのひとつにしている。「OPTiM AI Camera」はイベントだけでなく、本社の食堂で導入しており、ランチタイムになるとエレベーターホールのサイネージに混雑状況を表示。導入によって得られる効果を踏まえ、顧客提案に活かしているそうだ。
現在、業務効率化とマーケティングの双方を実現するためにデータの利活用提案にも携わっている山田氏。今後、「OPTiM AI Camera」に期待することについて、山田氏は「未来予測の機能」と話す。
「コロナ禍では混雑回避のソリ ューションとして活用されていますが、アフターコロナは来店客の利便性につながるソリューションとして活用の機会が広がると思っています。たとえば、来店客の滞在時間や注文したメニューなどさまざまなデータを収集して、『あと何分くらいで席が空く見込み』といった情報を提供できれば、来店機会の損失防止にも寄与するはずです」
業種の垣根を越えてデータドリブンなビジネスの実践を後押ししている大塚商会。フェアでの活用を踏まえて、「OPTiM AI Camera」の活用の可能性をどのように広げていくのか、これからの展開に期待がかかる。
株式会社大塚商会 様
「ITでオフィスを元気にする」というビジョンのもと、オフィスのIT環境を「システムの提案・導入」と「運用支援」の両面からワンストップソリューションとして支え続ける株式会社大塚商会。常に顧客目線に立って業務上のニーズをつかみ、多様な課題の解決をITの活用によってサポートしていく。さまざまなオフィス用品の通販サービス「たのめーる」もよく知られている。
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