見積書に有効期限は必須!その理由や業界・状況別の決め方を詳細解説

公開日:2025/03/18

「見積書に有効期限って必要なの?」

「見積書の有効期限はどう決めれば良いの?」

上記のように、お悩みではありませんか?

結論から言えば、見積書に有効期限の記載は必須です。

ただ、見積書の有効期限は法的に記載を義務付けられているわけではありません。

そのため、有効期限を記載し忘れたからといって、法によって罰される恐れはないのです。では、なぜ見積書には有効期限が必要だとされているのでしょうか?主な理由は以下の通りです。

昨今、さまざまなものが値上げ傾向であることを鑑みれば、見積もりを出した時点の金額を年単位で維持することは難しい場面も多いはずです。

だからこそ、見積書の有効期限は、いざ価格変更が必要になった場合に非常に有用だといえるでしょう。

また、上記の図にあるように、有効期限を記載しておくことで、顧客を契約に促す効果も見込めます。

一方、有効期限の記載がなかったり、適切な期限が定められていない場合は、価格や製品・サービスの仕様変更が必要となった場合に顧客とトラブルになる恐れがあるのです。

そのような無用なトラブルを避けるためには、見積書における有効期限の意味を正しく理解し、自社に合った期限を定められるようになる必要があります。

そこで本記事では、以下のことについて解説いたします。

この記事で分かること

◎見積書に有効期限が必要な理由

◎見積書に記載すべき有効期限の目安

◎見積書の有効期限を記載する方法

◎見積書に有効期限を記載する際の注意点

◎有効期限を記載した見積書を適切に管理する方法

見積書の有効期限について、なぜ必要なのかと疑問を覚えているのであれば、ぜひ最後まで参考にしてください。

1.見積書に有効期限が必要な理由

そもそも、なぜ見積書に有効期限が必要になるのでしょうか?主な理由は以下の2つだといえます。

  • 価格・条件変更への備えとして
  • 契約成立を促す効果が期待できる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1-1.価格・条件変更に備えられる

見積書に有効期限が必要とされるのは、価格や条件変更への備えとしての意味があります。

有効期限を設定しておくことで、期限内の価格や条件を担保する代わりに、期限が切れた後であれば、値上げや条件変更をスムーズに行いやすくなるのです。

昨今、電気やガスなどエネルギーの高騰や円安の影響により、さまざまなものが値上げの傾向にあります。

企業においても、やむなく価格変更やサービスの内容を変更せざるを得ない状況に置かれることもあるでしょう。

そのようなときでも、見積書に有効期限を設定しておけば、期限後の価格・条件変更に説得力を持たせられます

一方、サービスを受ける側からすれば、同じ理由で1円でも安いものを選びたいと考えるはずです。見積書に有効期限を設けていなければ、期限が定められていなかったことを盾に、値上げや条件変更に対抗されるかもしれません。

見積書における有効期限は、価格や条件変更が起こりやすい昨今では、必須の記入項目ともいえるでしょう。

1-2.契約成立を促す効果が期待できる

見積書に有効期限を設けることで、契約成立を促す効果も期待できます。

有効期限内に返事をしなければ」と考えさせることで、契約を進めるための会議や稟議へのアクションを促せるからです。

一方、有効期限がない見積書であれば、いつまでに返事をしなければいけないと焦らせることもありません。

そのため、検討を後回しにされたり、時間を置くことで他の製品やサービスに目移りしたりすることも考えられます

たったの一文ではありますが、見積書における有効期限は、契約成立のためにも非常に大きな役割を持っているのです。

また、先述したように、有効期限が設けられた見積書は、期限が過ぎた後は価格や条件が変更されるケースもあります。

「今の条件が一番良いものかもしれない」と考えさせられる点も、早めに契約を進めておきたいと思わせる一助になるのです。

2. 見積書における一般的な有効期限は2週間から半年程度

見積書における有効期限の必要性が分かった後、次に気になるのは「具体的にはどの程度の期限を設定すれば良いのか?」といった点ですよね。

一般的には2週間から半年程度とされますが、非常に幅が広いため、結局どの程度の期限にすべきなのか迷ってしまう方も多いはず。

そこで、ここでは業界別・状況別で見積書における有効期限の目安を解説いたします。

自社の場合はどの程度の期間が必要なのか、しっかり確認してみましょう。

なお、企業によっては、一律で見積書の有効期限が定められているケースもあるため、まずは社内のルールを確認することも大切です。

2-1.業界別で見る有効期限の目安

まずは、業界別で見積書に記載すべき有効期限の目安を見ていきましょう。

【業界別の有効期限目安】

業界名

有効期限の目安

建設業界

1ヶ月~半年程度

製造業界

2週間~3ヶ月程度

IT業界

2週間~1ヶ月程度

食品業界

2週間~無期限

その他の業界

慣例・製品やサービスの納期に合わせる

以下より、それぞれの有効期限について詳しく解説します。

2-1-1.建設業界における見積書の有効期限目安

業界名

有効期限の目安

建設業界

1ヶ月~半年程度

建設業界における見積書の有効期限目安は、短くて1ヶ月、長ければ半年程度と幅が大きくなっています。

これは、資材や材料の価格の他に、費用が高く工期も長くなりがちなことを加味して、比較的に長めの期限を設けることが多くなっているからです。

契約する側にとって、費用が高くなったり工期が長くなったりすれば、それだけ実際に工事を依頼すべきかどうかを慎重に決める必要がありますよね。

だからこそ、見積書の有効期限を決める際には、不用意に契約者側を急かさないよう少し長めの期限を設けているのです。

また、建設業界の場合、実際に着工するまでに複数回、見積書を発行するケースもあります。この場合は、契約者の状況に合わせて、その都度、有効期限を変更することが一般的です。

例えば、個人宅の新築契約を行う場合、お客様に費用感を確認してもらうために見積書を作ることがあります。

この場合の有効期限は2週間程度、実際に契約書を交わす直前の有効期限の場合は長めにするなど、同じ契約者への見積でも期限が異なる傾向が見られます。

2-1-2.製造業界における見積書の有効期限目安

業界名

有効期限の目安

製造業界

2週間~3ヶ月程度

製造業界においても、基本的な考え方は建設業界と同じです。

製造にかかる期間や製品の価格によって、有効期限が大きく異なります。

納品までに時間がかかる物や、費用が高くつくものは長めの期限を設ける傾向にあるということです。

一方、コンスタントに製造しているものや、慣例上見積りはするが、お客様がすぐに製品を欲している場合などは、1~2週間と短い有効期限を設けるケースもあります

扱う製品の種類や、お客様側の事情によって大きく期限が異なるといえるでしょう。

2-1-3.IT業界における見積書の有効期限目安

業界名

有効期限の目安

IT業界

2週間~1ヶ月程度

IT業界における見積書の有効期限は、比較的短めな傾向があります。

これは、建設業や製造業と異なり、製品やサービスに関わる原価が分かりにくいためです。

基本的に、IT業界における見積内容の大半は「労務費」です。

お客様が求めるシステムを構築するために必要となるのが「モノ」ではなく「ヒト」や時間になります。そのため、実際にプロジェクトを動かしてみないと、正確な工数を見積もることができません

結果的に、柔軟な対応を行えるよう、見積書の有効期限を短めに設定することが多くなっているのです。

2-1-4.食品業界における見積書の有効期限目安

業界名

有効期限の目安

食品業界

2週間~無期限

食品業界では、基本的に見積の有効期限は「次回見積もりまで」など、明確な期限を設けないことが多いといえるでしょう。

食品のように、最終的に消費者の購入価格に直結する商品の価格は、基本的に値上げ・値下げを限界まで実施しない傾向があります。

そのため、見積もり段階での価格についても、頻繁な変更が考えにくいために、明確に期限を切っておく必要がないのです。

ただし、食品は自然や生き物を扱う商品でもあるため、企業努力以外の面で価格の変動が起こることも事実です。天候による作物の豊作、もしくは不作などが例に挙げられます。

このような場合は、期間限定の特別価格として有効期限を設けておくと良いでしょう。

一例として、豊作や仕入れすぎた場合などは2週間~1ヶ月程度と比較的短めの有効期限、不作などで見通しが難しい場合は1シーズンとして3ヶ月程度の有効期限を設ける、といった対応が考えられます。

2-1-5.その他の業界における見積書の有効期限目安

業界名

有効期限の目安

その他の業界

慣例・製品やサービスの納期に合わせる

上記までで触れてきた業界以外でも、基本的な見積書の有効期限に関する考え方は同じです。

扱っている製品を提供できるまでの期間や、かかる費用に合わせて自社のリスクを最低限に抑えつつ、発注側が契約を考えるために必要な期間を設けましょう。

お客様とのトラブルが起きないよう、リスク管理をすることも大切ですが、不用意にお客様を焦らせないためです。

実際に有効期限を決める際の目安となるのは、今まで作成してきた見積書にヒントが隠されています。

同じような契約内容の前身となる見積書の有効期限を参考にすることで、不要に迷うことなく有効期限を決められるはずです。

また、その他業界だけではなく、最初に触れたように、企業ごとに見積書の有効期限があらかじめ一律で定められているケースもあります。

自身で考えることも重要ですが、まずは自社のルールを確認することから始めておきましょう。

2-2.状況別で見る有効期限の目安

続いては、見積書を発行する際の状況別で有効期限の目安を見ていきましょう。

ここでは単発契約・継続前提の契約別で解説します。

【状況別の有効期限目安】

状況

有効期限の目安

単発取引の場合

2週間~半年

継続取引が前提の場合

・1ヶ月~半年

・別途「有効期限 20××年〇月以降価格改訂する場合は協議の上設定とする」などの文言が入るケースもあり

単発取引における有効期限の目安は、一般的に2週間から半年程度とされます。

純粋に、業界ごとやそのときの世情に合わせて、柔軟に設定することになるため、一概に〇ヶ月と言い切ることが難しいためです。

そのため単発取引の場合は、先述した「業界別で見る有効期限の目安」も参考にしてください。

一方、継続取引が前提の場合は、単発取引の場合と比べて有効期限を長めにとる傾向があります。

継続が前提となっている以上、都度見積もりを取ることが現実的ではない場合が多いためです。

ただし、単発取引と同じく、業界やその時の情勢に合わせて、期限を決めることは同じです。継続取引が前提の場合、長めに期限を取ることがセオリーであっても、直近で値上げが確定している場合は短めの期限を設けることになります。

それぞれの簡単な例を見てみましょう。

【継続取引における状況別の有効期限目安】

状況

有効期限の目安例

一般的な継続を前提とした取引の場合

建設業:~半年

製造業:~3ヶ月

IT業界:~2カ月

食品業界:有効期限を設けない

世情が不安定・値上げを察知できている場合

2週間~

有効期限を設けず、価格高騰時への一文を入れる

なお、継続を前提とした場合は長めの有効期限を設けると解説しましたが、ここでも、やはり業界によって期限の長さは異なります。扱う製品を提供できる期間などを加味しながら決めていくと良いでしょう。

一方、世情が不安定でいきなり価格・条件変更が必要なケースでは、2週間程度と短めに設定する傾向が高くなっています。

他にも、海外の商品を扱う場合などは、有効期限を設けない代わりに「為替レート」の上下を定めることもあります。

海外の商品を扱う場合の条件例文

記載した価格は為替レート120円+- 5%を条件とします。この範囲を超えた場合、価格について再協議するものとします。

このように有効期限の他に、文章で価格高騰時への条件を示す方法もよく見られます。

具体的な期限を設けない場合の注意点

継続取引が前提となっている場合、企業によっては有効期限を設けない、または、具体的な期限を設けず「次回見積もりまで」「次回改定まで」と記す場合もあります。

取引上の慣例として使われている文言ですが、できれば避けた方が無難だといえます。

「期限を設けられていないから、別途見積もりを行う必要はない」などと言われる可能性がないとはいえないからです。自社の状況に合わせて、発注側にも負担がない期限を設けることが非常に難しいですが、できるだけ明確な期限を設けておきましょう。

ただ、製品やサービスによっては明確な期限を設けることが難しいケースもあるはず。そのような場合は、先述した為替レートのように、価格変更を行うための一文を入れておく方法がおすすめです。

3.見積書における有効期限の記載方法

実は、見積書における有効期限の記載方法には、厳密なルールが存在しません。

企業ごとや見積書のテンプレートごとで記載場所も、記載する文言も異なります。そのため、ポイントとなるのは、誰が見ても分かりやすいかどうかです。いくつかパターンを見ていきましょう。

3-1.見積書の置ける有効期限の記載方法【文言】

一般的に用いられる有効期限の文言は以下の通りです。

  • 20××年〇月〇日まで
  • 見積日より〇ヶ月以内
  • お見積り後〇ヶ月

どの文言も、期限がいつまでなのかが、ぱっと見で分かりやすいのではないでしょうか。より正確性を期すのであれば、最初に記載した年月日を記す方法が親切だといえます。

なお、ここでポイントとなるのは、いつからいつまでなのかをしっかりと明示することです。

「〇ヶ月以内」と記載する場合は「見積日より」「作成日より」など、期限がいつから始まるのかもしっかり記載しましょう。

3-2.見積書における有効期限の記載方法【場所】

続いて、記載する場所は以下の通りです。

  • 宛名や見積金額を記載するトップ部分
  • 備考欄

全ての見積書に有効期限を設定する場合や、単発の取引先の場合などはトップ部分に記載すると分かりやすくなります。

見積書のテンプレートを作成する際に、有効期限の記入欄も併せて作ってしまうと記載忘れの予防になるためおすすめです。

また、業種によっては、見積書の有効期限を記載できる商品・サービスと、記載できない商品・サービスの両方を扱うこともあるでしょう。

このような場合は、専用の記入欄を作るのではなく、備考欄に有効期限を記載する方法もあります。

他にも、有効期限以外の特記事項を載せたい場合なども、備考欄への記入で問題ありません。

なお、見積書における有効期限の書き方や、記載例は「【記載例あり】見積書の有効期限はどう書く?文言や記載場所も解説」でも詳しく解説しています。NGな記載例にも触れているので、より詳しく確認したい方はぜひ参考にしてください。

4.見積書に有効期限を設定・記載する際の注意点

見積書の有効期限を設定する際には、いくつかの注意点も存在します。

そもそも見積書における有効期限は、お客様とのトラブルを未然に防ぐためのもの。この前提を踏まえたうえで、より効果的な期限を切れるよう、以下、3つの点に注意しておきましょう。

  • 原則として発行後は価格の変更ができない
  • 有効期限を過ぎた見積書は無効になる
  • 記載忘れをした場合のリスクを把握しておく

では、それぞれ詳しく見ていきましょう。

4-1.原則として発行後は価格の変更ができない

見積書に記載した有効期限は、原則として発効後の変更ができません。

そのため、期限が有効の間は、提示した価格や条件の変更もできないことになります。

そもそも有効期限は、期限を設けることで、急な材料の高騰などに備えるためのものです。

しかし、場合によっては期限内に設定した価格や条件では、赤字になってしまう状況になることも考えられます。

そのようなときでも、有効期限を切っている場合は、有効期限内は提示した価格や条件を守らなければならないのです。

見積書の発行を1月10日、有効期限を2月10日にして、価格を100円にしていた場合の例を見てみましょう。

有効期限内である1月25日に、仕入れ先から値上げを提示され、120円にしなければ赤字になると判明。しかし、有効期限を設定している以上、2月10日までは100円のままで対応しなければならないのです。

価格や条件変更の幅が大きくなるほど、自社が抱える損害は大きくなります。

設定した有効期限内に、価格変更をしなければいけない事態が起きないとは限らないため、期限を定める際には世情も鑑みながら慎重に決めてください。

4-2.期限を過ぎると無効になる

有効期限を記載した見積書は、期限を過ぎると無効になります。

提示した価格や条件も、無効になるため、有効期限後にお客様が契約の意思を見せた場合は、再度見積書を発行しましょう。

基本的には、発行済みの見積書を基にした契約ができなくなるだけで、双方に契約の意思があれば期限後でも契約自体は可能です。民法で定められた権利について確認してみましょう。

民法第524条

”(遅延した承諾の効力)

第五百二十四条 申込者は、遅延した承諾を新たな申込みとみなすことができる。”

引用:「民法(明治二十九年法律第八十九号)」(e-Gov法令検索)(https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089#Mp-Pa_3-Ch_2-Se_1-Ss_1

翻ると、有効期限を短くしすぎると、何度も見積書を再発行する可能性もあります。

事務的な手間が増えることになるため、期限を短くしすぎることも考えものだといえます。

4-3.記載忘れをした場合に考えられるリスクを知っておく

有効期限を記載し忘れた場合のリスクも知っておきましょう。

先述してきたように、見積書における有効期限は、価格・条件変更に備えるために必要なものです。

そのため、期限を設けていないと、何年も前の見積書の価格で契約を迫られることも考えられます。

実際のところ、企業同士のパワーバランスに差がある場合、赤字になったとしても安い価格で仕事を受けざるを得ないでしょう。

民法でも、以下のように定められています。

民法第525条

”(承諾の期間の定めのない申込み)

第五百二十五条 承諾の期間を定めないでした申込みは、申込者が承諾の通知を受けるのに相当な期間を経過するまでは、撤回することができない。”

引用:「民法(明治二十九年法律第八十九号<)」(e-Gov法令検索)(https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089#Mp-Pa_3-Ch_2-Se_1-Ss_1

「相当な期間」としか定められていないため、撤回できるまでの期間の定義が、人によって異なるケースもあるはずです。

もちろん、永久に撤回できない訳ではありませんが、いつでも自由に撤回できるわけでもありません。

見積書に有効期限を設定しなかった場合のリスクも正しく把握した上で、期限を設定したり、有効期限の有無を決めたりするようにしましょう。

5.有効期限を記載した見積書を適切に管理するポイント

見積書に適した有効期限を設定・発行した後は、見積書自体を適切に管理することも重要です。

ずさんな管理をしていると、契約のチャンスを逃したり法律違反になったりすることも考えられます。

では、実際のところ見積書を適切に管理するには、どのようなポイントを守るべきなのでしょうか。ここから詳しく解説していきます。

5-1.法で定められた「保存期間」を守る

発行済みの見積書は、法によって保存期間が定められています。

そのため、設定した有効期限がいつまでかにかかわらず、発行した見積書は別途保存期間が過ぎるまできちんと保存しておきましょう。

法で定められた見積書の保存期間は以下の通りです。

【見積書の保存期間】

法人・個人事業主の別

保存期間

法人

法人税の申告期限の翌日から原則 7年

※欠損金の生じた事業年度の見積書は 10年

個人事業主

所得税の申告期限の翌日から原則 5年

※消費税を納めている課税事業者は 7年

なお、契約に至らなかった見積書の保存義務に関しては、明文化されていません。そのため、現状は企業ごとで保存・破棄のどちらにすべきかを決めるといった状態です。

ただし、電子帳簿保存法の「帳簿書類間における関連性の確保」要件によって、結果的に取り引きに至らなかった見積書など、帳簿と関連性がない書類も「帳簿と関係がない書類であることを確認」できるようにしなければならないとされています。

上記を考慮に入れると、できれば契約に至らなかった見積書も保存しておく方が無難だといえます。

5-2.有効期限前に顧客にリマインドを送る

発行した見積書を適切に管理していれば、有効期限前にお客様にリマインドを送ることもできます。

リマインドを行えば、お客様が日々の業務に追われて、見積書の確認を失念していた場合などでも契約に促すことが期待できるでしょう。

なお、リマインドを送れるよう、適切に見積書を管理する方法は保存ではなく保管することです。

保存

日常的な業務では使用しない書類を、現状を維持しながら管理すること

保管

業務で扱う書類などを、すぐに取り出せる状態で管理すること

上記表で触れたように、保管は、すぐに必要な書類を取り出せるよう、分かりやすい場所にしまっておくことを指します。

スムーズに書類の管理を行うのであれば、紙のまま管理するより、見積書を含む帳票管理ツールがおすすめです。

帳票管理のためのツールなら、検索機能があるため目的の見積書をすぐに見つけ出せます。

また、期日管理の機能があるシステムであれば、見積書の有効期限をアラートで教えてくれるため、忘れることなくリマインドメールを送ることも叶うでしょう。

なお、リマインドメールの例文は、以下の通りです。

【リマインドメールの例文】

「平素より大変お世話になっております。〇〇社の ××です。

先日はお見積りのご相談をいただき、誠にありがとうございます。

いよいよ有効期限が、近くなってまいりましたので、改めてご連絡をさせていただきました。

本件について、ご質問やご相談等ございましたら、お気軽にお申し付けください。万一、入れ違いでご連絡いただいておりましたら、申し訳ございません。

お忙しい中大変恐縮ですが、ご一報いただけますと幸いです。

引き続き何卒よろしくお願いいたします。」

こうしたリマインドを漏れなく行えるように、記載した有効期限を把握できる形で管理するようにしましょう。

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先述したように、見積書は契約に至らなかった場合でも、保存しておく方が無難な書類です。

相見積もりが一般化していることから、日常的に見積書を作成する場面も多いでしょう。

作成場面が多いということは、管理すべき見積書も膨大な数にのぼるということ。

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また、記録された日付を元に、メールで期限を通知する機能を搭載。

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6.まとめ

本記事では、見積書における有効期限の必要性や期限の目安について解説いたしました。

有効期限は法で定められている訳ではありませんが、その重要性に驚いた方も多いのではないでしょうか。

見積書に有効期限が必要な理由を、今一度おさらいしてみましょう。

・価格・条件変更への備えとして

・契約成立を促す効果が期待できる

契約成立への効果はもちろん、価格や条件変更への備えになるという点は、資材やエネルギーの高騰が著しい昨今では非常に大切なポイントです。

有効期限の決め方としては、以下を参考にすると良いでしょう。

【業界別の有効期限目安】

業界名

有効期限の目安

建設業界

1ヶ月~半年程度

製造業界

2週間~3ヶ月程度

IT業界

2週間~1ヶ月程度

食品業界

2週間~無期限

その他の業界

慣例・製品やサービスの納期に合わせる

【状況別の有効期限目安】

状況

有効期限の目安

単発取引の場合

2週間~半年

継続取引が前提の場合

・1ヶ月~半年

・別途「有効期限 20××年〇月以降価格改訂する場合は協議の上設定とする」などの文言が入るケースもあり

本記事が見積書における有効期限の意味を理解し、あなたの会社に適切な期限を設定する一助になっていれば幸いです。