請求書の振込期限の対応はどうする?決め方・書き方・Q&Aまで網羅
公開日:2025/03/18
「請求書の振込期限をどのように設定すればいいのか迷っている」
「支払遅延が発生したときの対応に不安がある」
こうした悩みを抱える方は少なくありません。
請求書の振込期限の設定と管理がうまくいかないと、売掛金の未回収や資金繰りの悪化といった事態を引き起こします。
本記事では、請求書の振込期限の基本知識から、適切な期限の決め方、請求書への記載方法、未払いや支払遅延への対応まで、トラブルを未然に防ぐ実践ポイントを解説します。
最後までお読みいただき、振込期限を適切に管理して、確実な代金回収を実現するためにお役立てください。
請求書の振込期限は、取引先に対して代金の支払いを求める期日のことを指します。売掛金の回収と自社の資金繰りに直結する重要な要素です。
- 振込期限の定義と法的な位置付け
- 回収の確実性向上と自社の資金繰り管理のために重要
- 一般的な振込期限のパターン
1-1. 振込期限の定義と法的な位置付け
振込期限とは、売買契約などに基づいて商品やサービスを提供した対価として、代金の支払いを求める期日のことです。
民法上は、債務の履行期と位置付けられます。
【振込期限の法的位置付け】
- 民法第412条(履行期と履行遅滞):契約で定めた履行期までに債務者が履行しないと、履行遅滞の責任を負います。振込期限は、支払債務の履行期に該当します。
出典:「民法」(e-Gov法令検索)( https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089)
1-2. 回収の確実性向上と自社の資金繰り管理のために重要
売掛金の確実な回収は、企業の資金繰り管理において非常に重要です。資金回収が遅れると、自社の支払いに支障をきたす恐れがあります。
【振込期限が果たす役割】
- 売掛金の回収予定の明確化:振込期限を設定すれば、いつまでに売掛金が回収できるかが明確になります。キャッシュフローの予測や管理がしやすくなります。
- 取引先の支払いに対する心理的プレッシャー:明確な振込期限があると、取引先も支払いの優先順位を上げざるを得なくなります。期限に対する意識が高まれば、回収の確実性が高まります。
- 自社の資金繰りの安定化:売掛金の回収サイクルを短縮して入金のタイミングを早めれば、手元資金を増やせます。資金繰りの安定につながります。
振込期限の適切な設定は、売掛金の回収リスクを低減し、自社の財務基盤を強化するために欠かせません。資金繰りの視点を持ちながら、最適な期限設定を検討しましょう。
1-3. 一般的な振込期限のパターン
振込期限の設定パターンは、業種や取引慣行によってさまざまですが、以下のようなパターンが一般的です。自社の事情と取引先の特性を考慮しながら、適切なパターンを選択することが重要です。
【一般的な振込期限のパターン】
- 月末締め翌々月末払い:請求書発行月の月末に締め、翌々月の末日までに振り込んでもらう方式です。多様な業種で採用されています。
- 月末締め翌月末払い:請求書発行月の月末に締め、翌月の末日までに振り込んでもらう方式です。支払いサイクルが比較的短いため、買い手側の資金繰りに一定の配慮が必要です。
業界の慣習を踏まえつつ、自社と取引先双方の事情をバランスよく考慮することが、適切な振込期限の設定につながります。画一的な対応ではなく、状況に応じて柔軟に判断しましょう。
振込期限は、自社の売掛金管理や資金繰りだけでなく、取引先との関係性にも影響を及ぼします。適切な期限を設定するために、以下の4つのポイントを抑えましょう。
- 自社の資金繰りを考慮する
- 業界の慣習や競合他社の状況に合わせる
- 取引先の希望を反映させる
- 法律(下請法・フリーランス法)に準拠する
2-1. 自社の資金繰りを考慮する
振込期限の設定は、自社のキャッシュフローと密接に関係します。支払いサイクルが長すぎると、一時的な資金不足に陥るリスクがあります。
【自社の資金繰りを考慮するためのポイント】
- 売掛金の回収予定を正確に把握する:過去の取引データをもとに売掛金の回収パターンを把握します。支払いサイクルの平均値や回収率などを資金繰りの予測に活用します。
- 支払いに必要な資金需要を見積もる:仕入れや人件費、経費など、支払いに必要な資金需要を細かく洗い出します。時期ごとの支出額を可視化し、資金ショートのリスクを事前に検知します。
- 振込期限と支払いのバランスを取る:売掛金の回収予定と支払い予定を突き合わせ、資金繰りを切迫させない振込期限を設定します。キャッシュフロー計算書などを活用し、最適なバランスを見極めましょう。
振込期限の設定は、自社の資金繰りに直結する重要な意思決定です。データに基づく冷静な判断が求められます。
2-2. 業界の慣習や競合他社の状況に合わせる
振込期限の設定は、業界の慣習や競合他社の動向とも無関係ではありません。自社の事情を優先しつつも、業界標準から大きく外れることのないよう、バランスを取ることが大切です。
【業界慣習や競合他社の状況を考慮するためのポイント】
- 業界団体などから情報収集する:業界団体が発行するレポートやガイドラインなどから、一般的な取引条件について情報を集めます。業界の平均的な振込期限を把握し、自社の設定の妥当性を確認します。
- 競合他社の動向を分析する:同業他社の請求書や取引先からの情報などから、競合の振込期限設定を把握します。大きな差異がある場合は、見直しを検討します。
- 取引先の反応を見極める:振込期限を検討する際は、取引先の反応を慎重に見極めます。支払条件が合わないことを理由に、取引を断られるリスクがあることに注意しましょう。
業界の常識から大きく外れた振込期限の設定は、取引先との関係性を損なう恐れがあります。自社の事情だけでなく、業界の慣習にも配慮する必要があります。
2-3. 取引先の希望を反映させる
振込期限は、取引先との合意のもとで設定されるべきものです。一方的に条件を押し付けることは避け、取引先の希望もくみ取るようにしましょう。
【取引先の希望を反映させるためのポイント】
- 取引先の資金繰りの実情を把握する:取引先との対話などから資金繰りの状況を推し量ります。厳しい環境にある場合は、柔軟な対応を心がけます。
- 支払いサイクルの希望を確認する:取引先が従来どのようなサイクルで支払っているのか、他社への支払いはいつ頃なのかを確認します。極端に自社の振込期限だけが短いと、不公平感を招きます。
- Win-Winの関係構築を心がける:あくまで振込期限の設定は、取引先との合意が前提です。一方的な押し付けではなく、双方が納得できる落としどころを見出すよう努めましょう。
取引先の事情に耳を傾けることは、良好な関係構築に欠かせません。相手の立場にも立ちながら、適切な振込期限を調整しましょう。
2-4. 法律(下請法・フリーランス法)に準拠する
売り手側が下請事業者やフリーランスの場合は、法律によって振込期限や支払いに関するルールが定められています。両者とも、原則として60日以内の支払いが義務付けられています。
【下請法とフリーランス法に共通するルール】
- 支払期日の規定:親事業者(下請法)または特定受託業務事業者(フリーランス法)は、物品等の受領日(役務提供日)から起算して60日以内、かつできる限り短い期間内において、報酬の支払期日を定めなければなりません(下請法第2条の2、フリーランス法第4条1項)。
- 書面交付・契約条件の明示義務:親事業者または特定受託業務事業者は、発注時に支払期日等を記載した書面を交付する、または契約に必要な事項を事前に明示することが義務付けられています(下請法第3条、フリーランス法第3条1項)。
下請法とフリーランス法は、公正な取引を促進するために定められた法律です。該当する場合には、これらの法律に準拠して、適切な振込期限の設定を進めましょう。
出典:「下請代金支払遅延等防止法」(e-Gov)( https://laws.e-gov.go.jp/law/331AC0000000120)
出典:「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(e-Gov)( https://laws.e-gov.go.jp/law/505AC0000000025)
適切な振込期限を設定したら、それを請求書に正確に記載する必要があります。取引先に誤解を与えないよう、明確でわかりやすい表現を心がけましょう。
- 明確でわかりやすい記載方法の例
- 振込期限と併せて記載すべき情報
3-1. 明確でわかりやすい記載方法の例
振込期限は、具体的な日付や期間を明記し、一目で判断できるようにすることが重要です。曖昧な表現は避け、取引先の解釈の余地がないよう配慮します。
【明確でわかりやすい振込期限の記載例】
- 「20XX年4月30日まで」:具体的な振込期日をカレンダー方式で表記する方法です。取引先が期限を認識しやすく、支払いの計画が立てやすくなります。
- 「○○日から7日以内」:注文日、納品日などの起点日から期間をサイト方式で表記する方法です。カレンダー通りではない月の日数も考慮でき、柔軟な対応が可能です。
- 「毎月末日締め、翌月末日払い」:月の締日と支払日を固定して締め払い方式で表記する方法です。定型的な取引の場合に、双方の事務処理が効率化できます。
振込期限は、請求書の目につきやすい位置に配置することも大切です。表題部分や合計金額の近くなど、取引先が見落とさないよう工夫しましょう。
3-2. 振込期限と併せて記載すべき情報
振込期限に加えて、以下のような情報も請求書に記載しておくと、スムーズな振込につながります。
【振込期限と併せて記載すべき情報】
- 振込先の銀行口座情報:振込先の金融機関名・支店名・口座種別・口座番号・口座名義を正確に記載します。取引先が迷わずに振り込めるようにしましょう。
- 連絡先:請求書に関する問い合わせ先を明記します。担当者名・電話番号・メールアドレスなどを記載し、円滑なコミュニケーションを促します。
- 振込手数料の負担者:振込手数料をどちらが負担するのかを明示します。トラブルの未然防止に役立ちます。
請求書に必要な情報の過不足ない記載が、取引先の利便性を高め、支払いの遅れや誤りを防ぎます。
適切な振込期限を設定し、請求書に明記していても、取引先の未払いや支払遅延が発生することがあります。トラブルに直面した際の対応方法を確認しておきましょう。
- 初期対応:状況確認と穏便な督促
- 段階的な督促:督促状の送付や訪問による交渉
- 法的措置:対応の検討と弁護士への相談
4-1. 初期対応:状況確認と穏便な督促
未払いや遅延を確認したら、まずは冷静に状況を見極めることが大切です。取引先への連絡は、強硬な態度ではなく、丁寧な確認から始めましょう。
【初期対応のポイント】
- 事実関係の確認:請求書の送付状況や取引先の受領状況をあらためて確認します。自社側の書類の不備や連絡ミスの可能性も考慮しましょう。
- 丁寧な問い合わせ:電話やメールで、支払いの予定を穏便に尋ねます。この段階ではあくまで事実確認が目的であり、強硬な督促は行いません。
- 支払いの意思の確認:取引先の支払い意思を確かめます。単なる事務処理の遅れなのか、何らかの事情があるのかを見極めることが重要です。
初期対応の段階では、取引先との信頼関係を損なわないよう、慎重なコミュニケーションを心がけましょう。
ケアレスミスやシステムエラーに起因することも多いため、相手に非があると決めつける態度は厳禁です。円滑な解決に向けて、冷静な判断が求められます。
4-2. 段階的な督促:督促状の送付や訪問による交渉
初期対応でも解決しない場合は、徐々に督促のレベルを上げていく必要があります。まずは文書による正式な督促を試みます。
【段階的な督促のポイント】
- 督促状の送付:支払いの要求を正式な文書の形で伝えます。未払いの事実と、支払期限をあらためて明記し、早期の入金を求めましょう。
- 訪問による直接交渉:文書での督促でも効果がない場合は、直接訪問しての交渉を検討します。対面での協議により、取引先の本音を引き出せる可能性があります。
- 分割払いなどの代替案の提示:取引先の資金繰りが厳しいことが判明した場合は、分割払いなどの代替案を提案するのも一案です。柔軟な対応が問題解決につながることもあります。
この段階では、法的措置を視野に入れつつも、あくまで話し合いでの解決を優先します。取引先との関係性を考慮しながら、交渉を進めましょう。
4-3. 法的措置:対応の検討と弁護士への相談
話し合いでの解決が困難な場合は、法的措置の検討が必要になります。ただし、安易な訴訟提起は避け、慎重に選択肢を検討することが大切です。
【法的措置を検討する際のポイント】
- 支払督促の申立て:裁判所に支払督促の申立てを行い、取引先に支払いを促します。比較的簡易な手続きで、時間とコストを抑えられるメリットがあります。
- 少額訴訟の提起:60万円以下の債権については、簡易裁判所での少額訴訟が選択肢となります。通常の訴訟に比べ、手続きが簡素で、審理も迅速に行われます。
- 通常訴訟の提起:高額な債権の場合は、地方裁判所に通常訴訟を提起することになります。勝訴しても回収できるかどうか、費用対効果を慎重に見極める必要があります。
法的措置は、専門的な判断が求められる局面です。早い段階で弁護士に相談し、最適な方策を検討することが賢明です。
出典:「支払督促」(裁判所)( https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_04_02_13/index.html)
出典:「少額訴訟」(裁判所)( https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_04_02_02/index.html)
「振込期限の管理をどう行えばよいのか?」は、各社が直面する共通の課題です。具体的な課題と対策を見ていきましょう。
- 振込期限設定・管理で直面しやすい課題
- 電子帳簿保存法に対応した文書管理システムの導入が最適解
- これから導入するならAI搭載システムを選ぼう
5-1. 振込期限設定・管理で直面しやすい課題
振込期限の管理では、以下のような課題に直面することが少なくありません。
【振込期限設定・管理で直面しやすい課題】
- 取引先ごとの個別管理の煩雑さ:取引先との合意に基づく期限設定では、管理の手間が増大します。期限切れの見落としなど、ミスのリスクが高まります。
- 紙の請求書発行・管理の非効率性:紙ベースの請求書の発行・保管には、多大な手間とコストがかかります。印刷や郵送の手間も無視できません。
- 支払遅延を防ぐ難しさ:取引量が増えるほど、支払遅延を早期に把握したり、適切なフォローアップを行うことが難しくなります。
これらの課題に対し、管理体制の見直しや、IT化の推進などの対策が有効です。業務の効率化と、ガバナンスの強化の両立を目指しましょう。
5-2. 電子帳簿保存法に対応した文書管理システムの導入が最適解
請求書の発行や保存の効率化には、電子化が欠かせません。電子帳簿保存法に対応した文書管理システムの導入は、大きなメリットをもたらします。
【電子帳簿保存法対応文書管理システム導入のメリット】
- ペーパーレス化による業務効率化:紙の請求書の発行・保管の手間が大幅に削減できます。業務の生産性が向上します。
- 請求漏れ防止と期限管理の適正化:電子データによる一元管理で、請求漏れのリスクが低減します。期限の設定やアラート機能により、支払遅延の防止にもつながります。
- 関連部署間の情報共有の円滑化:電子化されたデータは、経理部門と営業部門など、関連部署間で共有・活用しやすくなります。全社的な業務の最適化が可能となります。
文書管理システムの導入は、単なる効率化だけでなく、ガバナンス強化の観点からも重要です。電子帳簿保存法への適切な対応は、経理の信頼性向上にもつながるのです。
これから導入するなら、ぜひ「AI搭載システム」を選択することをおすすめします。
なぜなら、AIの高度な分析・予測機能により、取引先ごとの支払い傾向や資金繰りの状況を的確に把握できるからです。最適な振込期限の設定や支払い遅延の防止に直接的に役立ちます。
具体的なソリューションとしては、AI電子帳票管理システム「OPTiM 電子帳簿保存」が挙げられます。
OPTIM 電子帳簿保存は、請求書などの取引書類をアップロードするだけで、電帳法対応に必要な項目や、管理に便利な項目をAIが抜き出し、安全に取引情報を管理できるサービスです。
さまざまな取引情報の電子帳簿保存に対応しており、請求書の支払期限の管理に最適です。詳しくは以下のリンクより資料をダウンロードしてご確認ください。
最後に、振込期限をめぐってよくある質問にお答えします。
- 振込期限を長く設定するメリット・デメリットは?
- 振込期限が土日祝日・銀行休業日と重なるときの対応は?
- 振込期限について取引先と交渉する際のポイントは?
- 支払遅延が頻発する取引先への対応は?
6-1. 振込期限を長く設定するメリット・デメリットは?
以下に売り手側から見たメリット・デメリットをまとめましたのでご確認ください。
【振込期限を長く設定するメリット】
- 取引先の資金繰りへの配慮:支払いまでの猶予期間が長くなるため、取引先の資金繰りの負担を軽減できます。取引関係の円滑化につながる可能性があります。
- 競合他社に対する優位性:競合他社よりも長い支払サイトの設定により、新規案件を獲得しやすくなるといった競争上のアドバンテージを得られるでしょう。
【振込期限を長く設定するデメリット】
- 自社の資金繰りへの影響:売掛金の回収が遅れれば、自社の資金繰りが圧迫されるリスクがあります。運転資金の確保が困難になる恐れがあります。
- 回収リスクの増大:振込期限が長いほど、取引先の倒産リスクなどにさらされる期間が長くなります。貸倒れの可能性が高まることを認識する必要があります。
振込期限の設定は、メリットとデメリットのバランスを見極めることが重要です。自社の財務状況と、取引先との関係性を総合的に勘案し、適切な判断を下しましょう。
6-2. 振込期限が土日祝日・銀行休業日と重なるときの対応は?
大きく分けて2つの対応があります。
【振込期限が休日と重なる場合の対応方法】
- 前営業日を期限とする方法:期限が休日の場合、前営業日を振込期限とするルールを設けます。請求書にその旨を明記し、取引先にも事前に説明しておきましょう。
- 翌営業日を期限とする方法:逆に、翌営業日を振込期限とするルールを採用する方法もあります。買い手側にとっては支払猶予の期間が長くなるメリットがあります。
前者(前営業日)のルールを採用するケースが多く見られますが、自社および取引先の判断で柔軟に対応しましょう。
どちらを選択するにせよ、休日と重なるケースの対応方針は、事前にルールを定めておくことが大切です。場当たり的な対応では、トラブルのもとになりかねません。
6-3. 振込期限について取引先と交渉する際のポイントは?
自社の希望と取引先の希望が折り合わない場合、以下のポイントを押さえて交渉しましょう。
【取引先との交渉のポイント】
- 取引規模に応じた柔軟な対応:大口取引先には、ある程度の融通を利かせる一方、小口取引先には、標準的なルールを適用するなど、メリハリのある交渉を心がけましょう。
- 早期払いインセンティブの活用:早期払いを条件に割引を提示するなど、取引先のモチベーション向上につながるインセンティブを用意しておくと交渉がスムーズに進む場合があります。
- 法的リスクへの留意:下請法など、関連法規の順守は大前提です。法的リスクを十分に理解したうえで、条件交渉に臨むことが求められます。
振込期限の交渉は、取引先との長期的な関係性を左右する重要な局面です。相手の立場を尊重しつつ、粘り強く話し合いを重ねることが求められます。
6-4. 支払遅延が頻発する取引先への対応は?
支払遅延が頻発し、常態化している取引先への対応は、以下を参考にしてみてください。
【支払遅延が頻発する取引先への対応】
- 支払条件の事前確認の徹底:新規取引開始時や条件変更時に、支払条件を書面で確認する習慣をつけましょう。曖昧な合意は、後のトラブルの原因となります。
- 遅延利息の請求:取引基本契約書などに遅延利息について定め、毅然とした姿勢で請求することも必要です。適切な権利行使は、取引先との適切な緊張関係の維持につながります。
- 取引の継続可否の見極め:改善の見込みがない場合は、取引の縮小や停止も視野に入れる必要があります。貸倒リスクとのバランスを慎重に見極めましょう。
支払遅延が頻発する取引先への対応は、難しい判断が求められる局面です。取引の継続判断を視野に入れつつ、毅然とした態度で臨むことが重要となります。
本記事では「請求書の振込期限」をテーマに解説しました。要点をまとめておきましょう。
最初に基礎知識として以下を解説しました。
- 振込期限は、支払債務の履行期に該当し、取引先に代金の支払いを求める期日を指す
- 売掛金の確実な回収は、企業の資金繰り管理において非常に重要
適切な振込期限の決め方のポイントは以下のとおりです。
- 自社の資金繰りを考慮する
- 業界の慣習や競合他社の状況に合わせる
- 取引先の希望を反映させる
- 法律(下請法・フリーランス法)に準拠する
請求書への振込期限の書き方やトラブル対応について、以下を解説しました。
- 振込期限は、具体的な日付や期間を明記し、一目で判断できるようにする
- 未払いや遅延を確認したら、まずは冷静に状況を見極め、丁寧な確認から始める
- 話し合いでの解決が困難な場合は、早い段階で弁護士に相談し、最適な方策を検討する
請求書の振込期限は、ビジネスの収益性から取引先との関係性まで、さまざまな影響があります。電子帳票管理システムを活用して上手に管理しながら、適切に運用していきましょう。