電子帳簿保存法に対応するシステムとは?メリットから選び方まで解説

公開日:2024/11/22

請求書の写真

「電子帳簿保存法に対応したシステムとはどのようなものだろう?やっぱり法令を遵守しやすくなる?」
「そもそも電子帳簿保存法に対応したシステムは、他のシステムと何が違う?」

上記のように悩んでいる方も多いのではないでしょうか。 

電子帳簿保存法に対応したシステムが便利そうだと考えていても、具体的にどのようなものかイメージが掴めなければ導入に踏み出しくいものです。

結論からいえば、電子帳簿保存法に対応したシステムとは、その名の通り 電子帳簿保存法の要件を満たして帳票や書類を管理できるシステムを指します。

電子帳簿保存法の要件を満たして帳票や書類を管理できるシステムの図

電子帳簿保存法に対応したシステムを用いれば、定められている法的要件を満たした書類作成・保存が叶うため、多岐にわたる法的要件を自身で把握する必要がありません。

逐一チェックをする必要も無いため、時間的なコストを大幅にカットできるようになります。

ただし、ここで重要なポイントとなるのが、 電子帳簿保存法に対応したシステムであれば、どれでも良いというわけでない点です。
電子帳簿保存法に対応していることを前提に、自社に合ったシステムを選ぶことが重要なのです。

同じ電子帳簿保存法であっても、スキャナ保存がしたいのに、電子取引データ保存に対応したシステムでは意味がありません。また、多機能すぎるシステムを選んだ場合は、物は良くても使いこなせないという事態も考えられます。

そこで本記事では、電子帳簿保存法に対応したシステムの概要を網羅的に把握し、自社に合ったシステムを選択できるよう以下について解説していきます。

この記事で分かること
  • ◎電子帳簿保存法に対応したシステムの概要
  • ◎電子帳簿保存法に対応するために備えておくべき機能
  • ◎電子帳簿保存法に対応したシステムを導入するメリット
  • ◎電子帳簿保存法に対応したシステムを導入する前に知っておくべき注意点
  • ◎電子帳簿保存法に対応したシステムの費用目安
  • ◎電子帳簿保存法に対応したシステムの中でも、自社に合ったシステムを選ぶポイント

この記事を最後まで読むことで、電子帳簿保存法に対応したシステムの基本はもちろん、 自社にとって最適なシステムを判断できるようになるはずです。

電子帳簿保存法への対応に不安がある、システム導入に迷っている方はぜひ参考にしてください。

1. 電子帳簿保存法に対応するシステムとは

PCと電卓を操作する人のイメージ写真

そもそも、電子帳簿保存法に対応するシステムとは、どのようなシステムを指すのでしょうか?電子帳簿保存法の内容自体、まだまだおぼろげにしか分かっていない方も多いはずです。

そのため、まずは電子帳簿保存法に対応するシステムの定義と併せ、電子帳簿保存法によって求められる要件について確認していきましょう。

1-1. 電子帳簿保存法の要件を満たして帳簿や書類を保存できるシステムのこと

電子帳簿保存法に対応するシステムとは、文字通り 電子帳簿保存法に定められている要件を満たしたシステムを指します。

システムを用いることで複雑な法的要件もクリアできるため、ミスを低減し業務効率向上が期待できます。

そもそもデータ化は、業務上の管理が楽になったり、ペーパーレス化を進められたりするため推奨されてきましたが、データ化した帳簿や書類には改ざんしやすいというデメリットがあります。

そのため、保存している帳簿や書類が、正しく適正なものであると担保するために、電子帳簿保存法によってルールが定められたのです。
しかし、ここまで何度か触れてきたように、電子帳簿保存法は要件が多く内容も複雑です。

一朝一夕にすべて完璧に対応することは難しいもの。そこで役立つのが、電子帳簿保存法に対応したシステムです。

定められた要件をクリアしたシステムであるため、 システム上で帳簿や書類を管理すれば、電子帳簿保存法のルールを守ることができるのです。

1-2. 電子帳簿保存法で求められること

続いて、電子帳簿保存法自体についても確認していきましょう。電子帳簿保存法で求められる要件は、大きく分けて以下の3つです。

  • 電子帳簿・書類に関する保存要件
  • スキャナ保存に関する要件
  • 電子取引のデータに関する要件

ここからは、それぞれの要件について解説します。

1-2-1. 電子帳簿・書類に関する保存要件

まずは電子帳簿や書類などを保存する際に求められる保存要件について解説します。

電子帳簿・書類に関する保存要件の対象になるのは 「自己がコンピューターを使用して作成する帳簿・決算関係書類(勧進帳・発注書・請求書など)」です。 国税に関係する帳簿や書類全般を指すため、日々の業務に直接かかわってくる保存要件だといえます。

電子帳簿・書類に関する保存要件

要件概要

帳簿

書類

記録の訂正・削除を行った際に訂正・削除内容を確認できる
通常の業務処理を行った後、別個に入力を行った場合にその事実が判別できる
電子化した記録帳簿と、関連するその他の帳簿記録に関連性が確認できる
システム概要書、取扱説明書などシステム関係書類などの備え付け
保存場所に、電子計算機(パソコン等)、プログラム、ディスプレイ、プリンター、併せてこれらの操作マニュアルを備え付け、記録内容を明瞭かつ速やかに出力できる
検索要件 取引先・取引年月日・取引金額によって検索できる
日付、または金額の範囲指定により検索できる

2つ以上のキーワードを組み合わせて検索できる

税務職員が求めた際、電磁記録のダウンロードに応じられる

なお、電子帳簿・書類に関する保存要件をすべて満たした帳簿を作成できると 「優良な電子帳簿保存」と認められます。

優良な電子帳簿保存には優遇措置が設定されているため、単純に保存要件を満たすことだけを目指すのではなく、優良な保存を目指してみると良いでしょう。
なお、 電子帳簿保存法に対応したシステムの中には、優良な電子帳簿保存を満たすものも存在します。

システムを活用すれば、より手軽に優良な電子帳簿保存を達成しやすくなります。+αのメリットを享受できるという面でも、電子帳簿保存法に対応したシステムの活用がおすすめです。

なお、優遇措置の内容は以下のとおりです。

【優良な電子帳簿保存に認められた優遇措置】
  • ◎過少申告加算税の軽減措置
  • ◎青色申告特別控除額の増額

ちなみに書類の場合は、保存要件をすべて満たしても優遇措置などは設定されていません。

1-2-2. スキャナ保存に関する要件

続いては、紙の帳簿や書類をスキャニングしてデータ保存する際に必要な要件について解説します。

スキャナ保存に関する要件では、データを保存するコンピューター上だけではなく、スキャナのスペックにもルールが科されています。新しく導入するシステムだけではなく、スキャナに関してもしっかり確認しておきましょう。

スキャナ保存に関する要件
一定水準以上の解像度、およびカラー画像での読み取り 解像度(200dpi以上)による読み取り、またはカラー画像による読み取り。赤・緑・青それぞれ256階調(一般書類の場合はグレースケールでOK)
表示・印刷など見読性の確保 14インチ以上のカラーディスプレイ、カラープリンター、併せて操作説明書を備え付ける
バージョンの管理 訂正、削除を行った場合、当該の事実、または内容を確認できる。または訂正・削除ができないシステムを用いる
タイムスタンプの付与 入力期間内にスキャンデータにタイムスタンプを付ける
帳簿との相互関連性 書類に対応する帳簿との相互の関連性が確認できるか
システムに関する概要書などの備え付け スキャナ保存するシステムなどに、概要書・取扱説明書など関連書類などを備え付ける

企業によっては大型の複合コピー機などを用いず、スマートフォンやデジタルカメラでスキャニングを行うこともあると感じます。
ただ、スマートフォンやデジタルカメラでデータ化した場合は、基本的に解像度が表示されません。そのため、 読み取った書類の大きさと画素数によって見読性が判断されるため注意しましょう。

一例をあげると、A4サイズの書類を読み取る場合、約387万画素以上が必要とされます。詳しい解説は国税庁「 電子帳簿保存法一問一答(スキャナ保存関係)」をご参照ください。問25で解像度に関する解説を確認できます。

1-2-3. 電子取引のデータに関する要件

最後は電子取引のデータに関する要件を見ていきましょう。

電子取引とはメールやチャット、ホームページから必要書類をダウンロードするなど、電子を使った取引全般を指します。

電子取引のデータの保存に関する要件
・システムの概要、取扱説明書など関係書類を備え付ける(自社開発のシステムに限る)
・見読性の確保
・検索機能の確保
下記のいずれかの措置を行う
・タイムスタンプが付された後に受け取る
・データを受け取った後速やかにタイムスタンプを付す
・データの訂正削除ができない、または訂正削除の記録が残るシステムを使う
・訂正削除の防止に関する事務処理規程の備付け

法改正により 2024年1月1日から、電子取引のデータ保存はすべての事業者に対して義務化されました。電子データによる取引をした場合、印刷した紙での保存は無効となります。

もともとデータで受け取った情報を紙で印刷、データは削除していた場合、電子帳簿保存法違反になってしまうので注意しましょう。

なお、電子帳簿保存法における要件を詳しく知りたい方は「KW電子帳簿保存法 わかりやすく」の記事で詳しく解説しているので、そちらもぜひ確認してみてください。

2.電子帳簿保存法に対応するシステムが備えているべき機能

デスクでPCに向かい仕事をする人のイメージ写真

では実際に、電子帳簿保存法に対応するシステムは、どのような機能を備えていなければいけないのでしょうか。一般的な会計システムとの違いについても見ていきましょう。

2-1. 真実性の確保ができる機能

電子帳簿保存に則ってデータを作成・保存するには 真実性を確保する機能が必要になります。真実性を確保する機能として挙げられるのが、タイムスタンプです。

タイムスタンプとは、電子データが特定の時間に存在したことを表す技術です。
データを作成した後、または受領した後にタイムスタンプを付与することで、真実性を確保します。ただ、すべてのシステムにタイムスタンプが実装されているとは限りません。

自社では対応可能だが、取引先のシステムではタイムスタンプが付与できないというケースもあります。そのため、電子帳簿保存法に対応するシステムを選ぶ際には、 まずタイムスタンプに限らず真実性の確保ができるかを確認しましょう。

なお、真実性の確保はタイムスタンプ以外にも、訂正や削除の履歴が見えたり、訂正・削除自体ができたりしないシステムを採用するなどの方法があります。

2-2. OCR機能

紙ベースの書類をデータ保存したい場合は、 OCR機能があるかも確認すると良いでしょう。

OCR機能とは「Optical Character Reader」の頭文字をとった名前であり、スキャンした画像のデータの文字を認識、自動で入力してくれる機能です。

必要なデータを自動で抽出・入力してくれるため、手入力の手間を省けます。 人的ミスが起こりにくくなるメリットもあるため、スキャナ保存を行うのであればぜひ確認しておきたい機能です。

なおOCRには、AI学習を行える「AI-OCR」も存在します。利用するほど精度が増していくため、一般的なOCRとAI-OCR搭載のシステムで迷った場合は、AI-OCR搭載のシステムの方がおすすめです。

2-3. 柔軟な検索機能

電子取引データにおける保存要件の 「可視性の確保」を満たすため、柔軟な検索機能を備えているかも大切です。

ただ単に検索機能を備えているかではなく「取引年月日」「取引先」「取引金額」による検索ができるかは必須条件です。

  • 取引年月日:取引を行った年月日で検索できる(見積もり年月日・注文年月日など)
  • 取引先:取引先の名称で検索できる
  • 取引金額:帳簿に記載されている金額で検索できることが望ましい

「取引年月日」または「取引金額」においては、範囲検索、他にも複数の記録項目を組み合わせた検索ができるかも必要とされます。

実際のところ、データの管理を行う上で 柔軟な検索機能は非常に有用です。
電子帳簿保存法に対応することはもちろん、業務効率を上げるためにも、検索機能の柔軟さはしっかりチェックしましょう。

2-4. 権限管理機能

セキュリティ向上、 真実性の確保を底上げするためにも、権限管理機能も必要といえます。

権限管理機能を用いることで、重要な書類を外部に見られる可能性を抑え、うっかりミスによるデータの上書きを防げます。

特に、今まで紙ベースで管理・保存していた場合、データ管理そのものを甘く見ている可能性もあるのです。セキュリティを底上げするためにも、権限管理機能の重要性を意識しておきましょう。

権限管理・権限付与の方法の一例が以下になります。

  • 管理者のみ閲覧、編集、削除ができる
  • 管理者から権限を与えられた場合のみ、閲覧、編集、削除ができる
  • 権限の付与範囲を閲覧のみに限定
  • アクセスできる人であれば誰でも閲覧、編集が可能など

上記はあくまでも一例です。他にもシステムによってさまざまな権限の付与ができるため、事前に権限管理機能の詳細も確認しておきましょう。

3. 電子帳簿保存法に対応するシステムを導入するメリット

書類と電卓とキーボードが机に乗っているイメージ写真

電子帳簿保存法に対応するシステムだけではなく、昨今では業務効率向上のためにシステムを導入する企業は多い傾向にあります。では、電子帳簿保存法に対応するシステムだけにスポットを当てた場合でも、特有のメリットがあるのでしょうか?

ここではシステム全般のメリットではなく、電子帳簿保存法に対応しているシステムだからこそのメリットを紹介します。

3-1. 法令に則った適切な管理が容易になる

電子帳簿保存法に対応したシステムの一番のメリットは、やはり 法令に則った適切な帳簿・書類の管理ができる点です。

ここまで触れてきたように、電子帳簿保存法への対応は、一朝一夕では難しいと感じます。 多岐にわたる要件をすべて把握し、正しく理解するには時間もコストもかかります。

しかし、電子帳簿保存法に対応したシステムであれば、手順に沿って作業を行うだけで適切な管理を行えます。

例えば、真実性の確保に必要とされるタイムスタンプを、適切なタイミングで自動に付与する。保存済みの帳簿・書類はシステムの使用で訂正・削除ができないなどが挙げられます。

また、スキャナ保存など、電子帳簿保存法に対応したシステムであれば、手入力の手間を省くことも可能です。法令に則った適切な管理ができるため、法令違反による罰則におびえることもありません。

3-2. 改ざんなどの不正リスクを低減できる

電子帳簿保存法に対応したシステムであれば、一般的なシステムより 改ざんなど不正リスクへの対策を高いレベルで行えます

先述したタイムスタンプの付与や、訂正・削除ができないシステムであれば改ざん自体が不可能です。 また、権限管理機能を適切に行っていれば、データへのアクセス事態を回避することも叶います。

内部・外部へのセキュリティ対策、内部ガバメントを高めることにもつながるのです。

3-3. 必要な帳簿や書類を探す手間を削減できる

紙による管理や、検索機能が脆弱なツールと異なり、電子帳簿保存法に対応したシステムは高い検索性も必要とされます。

例を挙げれば、 全文検索や複数単語を組み合わせた検索方法などが挙げられます。

【全文検索とは】

文書内のワードで検索ができる方法です。
ファイルやフォルダのタイトルだけではなく、ファイル内の文章から目的の書類を検索できるため、さまざまな単語で目的の書類を見つけられます。

【複数単語を組み合わせた検索とは】

文字通り「株式会社○○」だけではなく

「株式会社○○+6月分請求書」

などで検索できる方法。より目的と合致する書類に絞られるため、必要な書類をすぐに見つけられるようになります。

これらのことから、高い検索性を持つシステムは法令を遵守するだけではなく、 日常の業務においても必要な帳簿や書類をすぐに探し当てられるようになるのです。

業務効率を上げるために、整理整頓が必要だとされますよね。整理整頓をしていれば、必要なものをすぐに手に取ることができるため「探す」という、無駄な時間を過ごす必要が無くなるのです。

この整理整頓と同じように、 電子帳簿保存法に対応したシステムを用いれば「探す」という手間を削減できるようになるでしょう。

4.電子帳簿保存法に対応するシステムを導入する前に知っておくべき注意点

書類と電卓が写っているイメージ写真

電子帳簿保存法に対応するシステムの、便利な機能やメリットについて紹介してきました。良い面を確認して、導入に乗り気になるほどデメリットや注意点は見なかったことにしがちです。

しかし、注意点をきちんと把握していれば、事前に回避することも可能です。

ここからは、電子帳簿保存法に対応するシステムを導入する前に、知っておくべき注意点について解説します。後悔をしないためにも、メリット・注意点共に正しく把握しておきましょう。

4-1. 自社に合うものを選ばないとムダが生じる

ひとつ目の注意点は、 自社に合うシステムを選ばないと、機能や時間に無駄が生じる可能性がある点です。

電子帳簿保存法に対応したシステムであれば、どれでも同じだと無作為に選んでしまうと、不必要に高機能なシステムを選ぶ恐れがあるのです。反対に、自社にとって必要な機能を備えていないシステムを選んでしまう可能性もあります。

高機能すぎるシステムを選んだ場合、使わない・使えない機能が出てきます。基本的にシステムは高機能・多機能になるほど料金やプランが高額になる傾向にあります。

使わない機能の分まで費用を払っていると考えれば、まさしく無駄が生じているといえるのです。

一方、自社に必要な機能を備えていない場合は、導入のやり直しが必要になります。導入費用を二重に支払うことになるため、こちらも無駄なコストがかかっていることになります。

「電子帳簿保存法に対応したシステムであればどれでも大丈夫」と思考停止しないよう注意しましょう。

4-2. 社内教育を実施する必要がある

電子帳簿保存法に対応したシステムを導入する際には、 従業員に対する社内教育も必要になります。

基本的に電子帳簿保存法に対応したシステムは、手順に沿って業務を進めれば、それだけで法的要件を満たした保存が叶います。
しかし、システムを一新する以上、 社内の業務フローに変更が生じることも事実です。

従来と違うやり方になるため、一時的な混乱は避けられないと考えましょう。

なお、混乱をいち早く収め、システムの恩恵を享受するために必要な対策は以下のようなものになります。

  • システムの使い方に関する社内教育
  • セキュリティに関する社内教育
  • 運用マニュアルの作成
  • 困ったときのための相談窓口

教育を始めとして、いつでも確認できるマニュアルや、困ったときに誰に相談すれば良いのかが明確にすることで、混乱を収めやすくなります。

5. 電子帳簿保存法に対応するシステムにかかる費用

お金とキーボードが写っているイメージ写真

電子帳簿保存法に対応するシステムは、従来の会計システムに搭載された機能のほかに、特有の機能が必要とされます。そのため「機能が増える=システムにかかる費用も増える」と考えがちですよね。

事前にコスト感を把握するためにも、まずは大まかな相場を確認してみましょう。

【クラウド型】電子帳簿保存法対応システムの費用目安
初期費用 0~20万円
月額料金 0~100,000円

上記のシステムにかかる費用はあくまでも目安です。
無料プランを設けているシステムでも、利用できる人数やアップロードできる書類の上限が少ないなど、制限があるケースも多くなっています。

そのため、ここではもう一つ、OPTiM 電子帳簿保存の月額利用料も一例として見てみましょう。無料トライアルを除いた最安値・中間値・最高値の3つを紹介します。

OPTiM 電子帳簿保存の提供価格一例
プラン名 年間アップロード上限数 月額料金(税抜)
スターターS1 1,200(月間上限:100) 9,980円
ビジネスB1 18,000(月間上限:1,500) 34,800円
ビジネスB3 36,000(月間上限:3,000) 49,800円
※月額料金は2024年10月のものです(すべて税抜き)

最高値のビジネスB3であっても、月額料金は5万前後となっています。やはり、無料で利用できるシステムを除けば、 10,000円~50,000円程度が相場といえます。

6. 電子化を進める予定なら電子帳簿保存法システムは早めに導入すべき

PCに電子帳簿保存のシステム画面が写っているイメージ写真

社内の意向として帳簿や書類の電子化を進めたいのであれば、電子帳簿保存法に対応したシステムは早めに導入すべきだといえます。

なぜなら、2024年10月現在、すでに「 電子取引におけるデータ」はデータによる保存が義務化されているからです。

一部の事業者は、猶予期間を設けられていますが、猶予期間がいつまであるのかは明確にされていません。まだ大丈夫と悠長に構えていると、思っていたよりも早い段階で完全義務化になることも有り得るのです。

何より、電子帳簿保存法システムの導入には、 電子帳簿保存法に適した保存ができるだけではなく、不正リスクの低減や検索性の向上などのメリットがあります。内部ガバメントや業務効率の向上は、企業にとって非常に大切なメリットです。

システムの導入が早ければ、その分メリットを享受できる期間も長くなります。「電子帳簿保存法に対応したシステムが必要かもしれない」と考えた今こそ、導入を進めるチャンスと考えましょう。

7. 導入時は電子帳簿保存法に対応していることを前提に自社に合うシステムを選定することが重要

デスクでPCに向かい仕事をする人のイメージ写真

実際に電子帳簿保存法に対応したシステムの導入を前向きに考えた際、気になるのは、たくさんあるシステムの中からからどれを選ぶべきなのかといった点です。

結論からいえば、電子帳簿保存法への対応を前提にした上で、自社に合うシステムを選ぶことが重要です。

「電子帳簿保存法へ対応済み」の謳い文句は、あくまでも電子帳簿保存法へ対応していることだけを指しています。電子帳簿保存法へ対応しているからといって、すべてのシステムが自社に合うシステムとは限りません。

電子帳簿保存法だけにこだわってしまうと、自社に合わないシステムを選んでしまう可能性があるのです。

まず、データ化を行う目的を確認し、目的を達成するためには、どのようなシステムが必要なのかを考えてみましょう。一つ一つ不明点を明確にしていくことで、自社に合うシステムを判別しやすくなります。

なお、自社に合うシステムを選ぶ方法・見るべきポイントは次から詳しく触れています。
続けてしっかりチェックしてみて下さい。

8. 電子帳簿保存法に対応するシステムを選ぶ際に見るべきポイント

オフィスにPCが並んでいる様子の写真

では、電子帳簿保存法に対応した上で、自社に合ったシステムを選ぶにはどのようなポイントを確認すべきなのでしょうか。ここでは、システムを選ぶ際に見るべきポイントについて解説します。

8-1. JIIMA認証を受けているか

まず、電子帳簿保存法により適切に対応しているかを確認するため「 JIIMA認証」の有無を見てみましょう。

JIIMAとは、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会のことを指し、市販のシステムをチェックして、 電子帳簿保存法に適したと判断されたシステムの認証を行っています。

認証されたシステムには「JIIMA認証」と書かれたマークを表示できるようになるため、パッケージやHPで簡単に確認できます。

上記でも触れたように、世にあるシステムの全てが正しく電子帳簿保存法に対応できているとは限りません。 第三者機関からの認証を確認することで、より確実に電子帳簿保存法に対応できるようになります

なお、JIIMA認証に関しては「 JIIMA認証は電子帳簿保存法を満たす証!基本をわかりやすく解説」の記事で詳しく解説しています。認証の種類などにも触れているので、こちらもぜひ確認してください。

8-2. 電子化したい書類に対応しているか

自社が電子化したいと考えている書類に対応しているかも確認しましょう。

電子帳簿保存法対応システムには、 幅広く帳簿や書類に対応しているものから、特定の書類にしか対応していないシステムまで存在します。

実際に、スモールスタートで良いと考えているのならば、特定の書類のみのシステムでも十分です。しかし、確認を怠ったことで、必要な書類の電子化ができないようでは導入の意味がありません。

まず、電子帳簿保存法に対応しているかと併せて、 対応書類の確認は大前提 と覚えておきましょう。

8-3. 自社に必要な機能が備わっているか

自社に必要な機能が備わっているかも、大切なチェックポイントです。ここでいう必要な機能とは、以下のようなものが挙げられます。

  • 他のシステムとの連携の有無
  • 関連書類の紐づけができるか

自社ですでに利用しているシステム・ツールがある場合は連携できるかを必ず確認しておきましょう。既存システムからデータを直に移せない場合、かえって手間が増えてしまう可能性があります。

また、関連書類の紐づけに関しては、業務効率を上げられるためおすすめの機能です。例えば、請求書を確認した際、納品数と数字があっているかを確認しようとしたときなど、関連書類として紐づけられていればすぐに確認ができます。

自社にとって必要な機能や、現場の利便性が上がる機能についてもしっかり確認しましょう。

8-4. 自社に適した提供形態か

クラウド型、オンプレミス型など、自社に適した提供形態化も確認しましょう。クラウド型、オンプレミス型、それぞれの特徴は以下になります。

【クラウド型・オンプレミス型の特徴】
クラウド型 メリット
  • 自社内にサーバーが不要なため比較的安価、立ち上がりが早い
  • 場所を選ばずアクセスできる
  • 保守、メンテナンスに社内リソースが不要
デメリット
  • カスタマイズの自由度は低め
  • セキュリティ体制に不安が残る
オンプレミス型 メリット
  • 高いカスタマイズ性、自社に合わせた運用が可能
  • セキュリティレベルを自社でコントロールできる
デメリット
  • サーバー、通信環境の構築が必要なため初期コストが高い
  • 保守、メンテナンスに社内リソースが必要

クラウド型、オンプレミス型のどちらにもメリット・デメリットがあります。

傾向としては、スモールスタートから始めたい、できるだけコストを抑えたい場合はクラウド型。先を見据えて自社に合ったシステムをしっかり立ち上げたい、セキュリティレベルを上げたい場合はオンプレミス型といえます。

8-5. 希望する規模感で導入・運用できるか

円滑な運用を進めるためにも、希望する規模間での導入が可能かも確認しましょう。確認するポイントとしては以下のようなものが挙げられます。

  • アップロードできる書類数/月・年
  • 利用可能なユーザー数
  • ファイル容量
  • ファイル保存期間

特に アップロードできる書類数、利用可能なユーザーはスムーズな運用の為にも重要なポイントです。

例えば、小規模で経理担当者が1人だけ、日に扱う請求書が5枚前後の企業と、何人もの営業が見積もりや発注書をやり取りするような企業では、アップロードできる書類数も、必要なユーザー数も大きく異なります。

後者の企業で、アップロード数が月に10枚、ユーザーの制限人数1人では、あっという間にシステムが使えなくなります。

8-6. 使いやすいか

システムの 使いやすさや直感的な操作ができるかも、スムーズな導入・運用に大切なポイントです。実際にシステムを使う担当者にとって使いにくいようでは、システムを導入する意味がありません。

また、使いにくいからと以前のやり方に戻ってしまったり、かえって時間がかかり業務効率が落ちたりすることもあります。システムのスペックやコストを優先すると、どうしても使いやすさはないがしろにされがちです。

しかし、システムを使うのは現場の担当者です。無理なく利用できるシステムを選べるよう、意識してみましょう。なお、 システムの使いやすさを確認するには、無料トライアルの利用がおすすめです。

実際にシステムを使って使用感を確認できるため、使いやすさだけではなく必要な機能を見つけることもできるはずです。

\多様な取引情報の管理を一元化・効率化したいなら/
OPTiM 電子帳簿保存の無料トライアルをご利用ください

電子帳簿保存法に対応し、多様な取引の情報を一元管理したいなら、JIIMA認証済みの【OPTiM 電子帳簿保存】がおすすめです!

電子帳簿保存法・インボイス制度の保存要件に対応している図

対応している保存要件は「真実性の確保」と「可視性の確保」。より 帳簿や書類を適切に管理、保存したいと考えるときにおすすめのシステムです。

電子帳簿保存に最適化した事務処理規定のテンプレートを提供、柔軟性の高い検索機能で業務効率の向上をサポートします。スキャナ保存はもちろん、メールで受領した書類を自動で取り込む機能もあります。手作業でのファイル移動やデータ入力は必要ありません。

請求書・領収書・注文書など様々な取引関係書類をデータ化する図

取引情報の内、電子帳簿保存が必要とされる書類を判別し適切なデータ化を叶えます。AI-OCRを搭載しているため、データ入力は自動、目視で確認するだけで情報の抽出が終わります。

電子データをもっと効率的に管理したい、データで管理しているけれど機能に不満がある。このようなお悩みを持っているのであれば、ぜひオプティムの電子帳簿保存をお試しください。

無料トライアルでも、ユーザー作成上限数・ファイル容量制限は無制限です。無料トライアル期間で、AI-OCRの使い心地を確かめてみましょう。

9.まとめ

本記事では電子帳簿保存法に対応したシステムについて、基本知識から必要な要件、メリットや注意点まで解説してきました。

電子帳簿保存に対応したシステムとは、文字通り「 電子帳簿保存法の要件を満たし、ルールを守れるように対応できているシステム」を指します。多岐にわたる複雑な要件を、自身で一つ一つ確認することは至難の業です。

だからこそ、システムの手順に沿って業務を行うだけで良いとなれば。とても魅力的なシステムに移ったはずです。しかし、電子帳簿保存法に対応できていれば、それだけで優秀なシステムとは限りません。自社に合ったシステムを選ぶには、以下の点に気を付けてみましょう。

  • JIIMA認証を受けているか
  • 電子化したい書類に対応しているか
  • 自社に必要な機能が備わっているか
  • 自社に適した提供形態か
  • 希望する規模感で導入・運用できるか
  • 使いやすいか

自社の目的に沿ったシステムを選択できれば、正しく電子帳簿保存法に対応できているとか不安になる事はありません。また、業務効率やセキュリティを底上げすることも可能です。

電子帳簿保存法に対応したシステムを導入して、より円滑に業務を進めていきましょう。